精神科医Tomy先生が、ビジネスパーソンのさまざまな悩みに向き合う、「心のコリを解きほぐそう」。今回のテーマは「加齢」です。気力も体力も有り余っていた若い頃に比べると、40代、50代は健康に不安を感じたり、トレンドをキャッチアップしづらくなったりと様子が変わってきます。人生の終わりを意識し始めて、焦りや不安を感じる。そんな50代の男性の悩みに、Tomy先生がアドバイスします。

(写真=PIXTA)
(写真=PIXTA)

 生きている以上、人は必ず年を取っていきます。私自身、若い頃は「高齢の人は人生の残り時間が少ないのに、よく耐えられるなぁ」と思っていたんです。でも、実際に自分が年を重ねると、そう悪いことではないと感じるようになりました。

 例えば、年を取るごとに感情の起伏が落ち着いてきます。一方で、悪い面もあります。初めて経験することが少なくなるので、ワクワクや感動のような感情は薄れていきます。前は楽しかったことでも新鮮さがなくなり、新しいことに取り組むことも少し面倒になります。

 以前は仕事が終わったら、出掛けなければ落ち着かなかったけれど、今は家の中でゴロゴロ過ごすのも悪くないなと思うことも。そんな変化を楽しんでいます。

 人生の最期に対する気持ちも、少しずつ変わっています。もし今、重い病気で余命1年と言われたら、最初はすごくショックでつらいと思います。でもそれを乗り越えて諦められた後は、1人旅に出かけるなどやりたいことをして、最後は大事な人と残りの時間を過ごそうとするのではないかと想像します。死を人生最後のイベントと捉えて、そこに向かってどう心穏やかに過ごすかを考えると思います。

 人は、いつ最期の瞬間を迎えるか分かりません。事故で急に亡くなってしまうこともあります。若いから人生の残り時間が多いと考えるのは幻想です。だから、もし残りがあと1年だとしたら何がしたいかと考えて、思い浮かんだことを今からやっておいたほうがいいと思います。

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