今回はブランドとコンセプトについて考える。「ノーブランドだけど質の良いもの」というコンセプトで様々なジャンルの商品をまとめたのが「無印良品」というブランド。そこにはあの経営者の並々ならぬ思いが結実したコンセプトがあった。
(写真:123RF)
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 復習もかねて、コンセプトとビジネスの具体事例をもう一つ、上げておきますね。

 会社の特色から粗ベクトルを見出し、その粗ベクトルに沿って商品やサービス、環境などを再構成する。この作業を組織論的には「アラインメント(Alignment、一線化)」、マーケティング用語では「パッケージング」と呼びました。

 ビジネスとは、商品やサービスを提供しているのではなく、コンセプトを「商品やサービスという車に載せて」届けているのだ、という概念変更をすると、パッケージングの意味も良く理解できますね。平たく言えば、「コンセプトを載せる」車を多彩に用意して、多重配送することで、より、明確に受け手に伝わるようにしているわけです。

 さてさて、ここで、ブランド論とコンセプト論を交錯させてみたいと思います。

ブランド分類論とかあまり考えず、「載せている物」と「乗り物」でとらえよう!

 ブランドも、ブランドメッセージやブランドコミットメントを顧客に届けるという考え方だから、コンセプト論と近しい考え方でしょう。ただ、こちらを物の本にしたがって考えていると頭がこんがらがってしまうところがあります。

 たとえば、ブランドを種別分けするときに、以下のような用語を用います。

 まず、「カレーハウスCoCo壱番屋(CoCo壱)」などはカレーという商品を使って、ブランドを築いています。多種多様なメニューが揃っていますが、それらはすべて「カレー」です。つまり、カレーという製品の中で、アラインメントを作るので、これは「製品ブランド」と呼ばれます。

 一方、衛生用品にはクレハの「キチントさん」というブランドがありますね。こちらは、食器洗剤も、除菌スプレーも、三角コーナーパックなど全く異なる製品群で構成されていますが、いずれも衛生機能という共通点があります。こういうものを、「機能ブランド」と呼びます。

 パナソニックは、掃除機も、電子レンジも、髭剃りも、電球も作っています。製品群も機能も異なりますが、家庭生活という使われる場面が共通している。なので、「シーン・ブランド」などと呼ばれる。

 無印良品になると、どうでしょう。製品も多彩、機能も多彩、使用場面も多彩。ただそこに、「ノーブランドだけど質の良いもの」が共通している。質実剛健という網でくくられているので、「ブランド・ネクサス・ブランド」などと呼ばれています。

 私は、こうしたブランド種別の話が苦手です。どうも、要りもしない区分を作って、お勉強好きを喜ばせているだけなのではないか、と思ってしまうのです。

 ビジネスとは、コンセプトを運ぶ作業であり、それを載せる乗り物をそろえること。これだけでいいのではないでしょうか。

 上記ブランド種別の問題点は、すべて「製品やサービス」しか見ずに、命名していること。たとえばCoCo壱であったとしても、カレーだけでなく、それを提供する店舗設計や、店員さんのサービスマニュアルまで、すべてがコンセプトを載せる「乗り物」であるはずです。さすれば、「製品」ブランドなどとは言えないでしょう。

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