「ビジネスとは、商品やサービスを売る行為」というのは大間違い。運ぶべきは「コンセプト」であり、商品やサービスはそれを運ぶための車でしかない。今回のドリルの題材は、みんな大好きなあの業界のV字回復だ。
(イラスト:西アズナブル)
(イラスト:西アズナブル)

 「話す」「書く」「考える」より前に、まず「伝えたいこと」をしっかり定め、続いて、それをうまく表すための「素材」を集め、どのように話すべきか「手順」を整えること。それが前回の結論となります。

 この「伝えたいこと」をコンセプト、そのための素材集めや手順作りなどを「コンセプトワーク」と呼ぶことにいたしましょう。

表現とは、「コンセプトを運ぶ車」

 私たちは、話す・書く・考える以外にも様々な方法で、表現を行っています。たとえば「描く」ことも「唄う」ことも「奏でる」こともそうでしょう。

 アートや自己満足ではなく、それらをビジネスとして成立させるためには、根本に「伝えるべきこと」、即ち、その活動を通して、相手に何を伝えたいかという「コンセプト」があり、それが最適に伝わるよう構成する=コンセプトワークが必要となります。たとえば、ミュージシャンが毎回コンサートのたびに、曲のラインナップを変え、会場内のオーナメントや照明も変える。そしてツアータイトルをつける。これらも、ツアーごとに「伝えたいこと」があり、それを最適に表現するための手順として、取りそろえるものを変えているわけです。

 俯瞰すると、世の中には数多の表現手段があり、その表現手段に乗せて「コンセプト」を運んでいるということが見えてきませんか? だから、「話す」「書く」「唄う」「奏でる」といった行為は、コンセプトを運ぶ「乗り物」と例えられるでしょう。そして、その大切な荷物である「コンセプト」が目減りせず、できれば運送途上で熟成されてさらに芳醇(ほうじゅん)になるように、「乗り物や運び方をうまく組み立てている」(コンセプトワーク)と考えると分かりやすいでしょう。

 このことに気づかず、どんな車を作ろうかと、車の形や色、パワーなどに先に目を向けてしまうから、何も伝わらなくなってしまうのです。

 最初に「大切な荷物(コンセプト)」ありきで、その性質によって、保冷車がいいか冷凍車がいいか大型トラックがいいか、は決まる。そして、猛スピードを出すべきか、揺らさず安全重視か、運び方もそれにふさわしいいものになる。だから、見るべきは「車」ではなく、「荷物」だ!ということなんです。

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