東京・御徒町のワイナリー「葡蔵人(ブックロード)」。前編「東京にある『都市型ワイナリー』の魅力 ワインがより身近な存在に」では、東京のど真ん中にある「都市型ワイナリー」の魅力を伝えた。今回の後編では、45歳、ワインの知識ゼロの状態からワイン醸造家になった須合美智子氏の挑戦にクローズアップする。

東京・御徒町にある10坪ほどのワイナリー「葡蔵人(ブックロード)」。須合美智子氏はその責任者であり、ワイン醸造家だ。K'sプロジェクト(東京・台東)のパート社員として、同社が展開する飲食店で働いていた2016 年、ワイナリーの新規事業の話が持ち上がった。須合氏は「楽しそう! やってみたい」と考え、責任者に手を挙げた。
しかし、それまでワインはほとんど飲んだことがなく、知識はゼロ。それでも、「ものをつくる過程が楽しそうと感じたんです。会社のスタッフのこともすごく好きで、みんなともっと深く働きたいと思いました」と須合氏は話す。
周囲からは「無謀だ」「未経験でできるはずがない」「45歳からでは遅すぎる」と反対の声が多かった。しかし、古い付き合いの友人に話すと、「相談しているけど、実際はもうやると決めているんでしょ?」と言われた。その通りだった。
「ワインのことを知らないし、45歳だし、パート社員だし、下の子は高校生で家にいるし……と、できない理由を探せば、いっぱいあったと思います。でも、楽しそうだなと思ったその気持ちを大事にしたかったんです」
もともと好奇心旺盛な性格だ。須合氏は、できるかできないかではなく「やってみたい!」と感じた自分の気持ちを信じ、ワイン造りの道に飛び込んだ。
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