10年前のインプラント医療の危機

きぬた 泰和
日本歯科大学新潟生命歯学部卒
趣味:読書、歴史探訪
好きな言葉:すべての業には時がある
出身地:栃木県足利市

 きぬた歯科が看板広告を本格的に展開し始めたのは、今から10年前のこと。そのきっかけとなったのは、NHKの報道番組「クローズアップ現代」が12年1月に放送した「歯科インプラント トラブル急増の理由」にあるという。

 「インプラントの悪徳業者に関する特集で、放送日の翌日からインプラントへのバッシングというトレンドができたほど。予約のキャンセルが相次いで多くの歯科医院に閑古鳥が鳴いた」と憤りを隠さない。

 一方、そのおかげで仕事を省みる機会が得られたともいう。

 「来院した患者に毎回アンケートを取っていた。当時、広告費として年間でインターネットに1200万円、看板広告に75万円をかけていた。ただ、アンケートで顧客の来院理由の項目を見ると、インターネットと看板広告の割合が半々で、拮抗していることが分かった」

 単純計算にはなるが、きぬた歯科の場合、看板広告の効果はネットの16倍もあったのだ。ならばと、看板広告への完全シフトを決めた。きぬた歯科は戦略として分院や医院を多店舗開業などはしてこなかった。その間にためた15年分の利益のキャッシュ全てを看板広告に投下した。結果、幹線道路に大量の看板広告が増殖したのだ。

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