「Webtoon(ウェブトゥーン)」をご存じだろうか。スマートフォンで読むことに特化した縦スクロールコミックで、従来の漫画のようにページをめくるように読むのではなく、画面をスクロールしながら読み進められるというユーザーインターフェースが特徴のコンテンツである。世界の市場規模は急速に拡大しており、2028年には3兆円以上になると予測されている。これほど盛り上がりを見せているのはなぜかなのか、Webtoonの可能性を考察していく。

火付け役は韓国企業 「日本では2013年から注目されている」

 Webtoonとは、「web」と「cartoon(漫画)」を掛け合わせた造語で、縦スクロールで読み進めるフルカラーのデジタルコミックを指す。04年、韓国の電子コミックサービス「NAVER WEBTOON(現LINE WEBTOON)」が発祥だといわれている。世界の市場規模は急速に拡大しており、2028年には約3兆7512億円になると予測されている(*1)。

 20年からWebtoon事業を展開しているMinto(ミント、東京・港)取締役の中川元太氏は、「日本でこのジャンルが盛り上がったのはここ数年だが、実は韓国発の漫画アプリ「comico(コミコ)」が上陸した13年ごろから国内でも読まれるようになっていた」と話す。

 「もともと無料で読める作品が多く、少しずつ話題を集めていたのですが、途中から有料の作品が増えたため、一部の人にしか普及しませんでした。しかし、同じく韓国企業のピッコマが「「WEB待てば¥0」(通称、待てば無料)」という、閲覧後に23時間たてば次の話を無料で閲覧できる仕組みを取り入れるようになってから、日本でも人気が一気に加速しました」(中川氏)

 一見、従来の漫画との違いは、コマが縦に並んでいる点とフルカラーである点だけだと思われがち。しかし実際は似て非なるもので、「ヒットする作品の特徴も読者層も制作過程も、大きく異なる」と中川氏は言う。

Minto取締役の中川元太氏(写真=Minto提供)
Minto取締役の中川元太氏(写真=Minto提供)

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