
会社に何らかの特徴があれば、それを「いいな」と思う人がいる。特徴はもちろん、長所であることに越したこととはないが、短所だとしても案外、それを「良い」と思ってくれる人がいる。こうした「短所」的な側面はアピールする企業が少ないので、競合がなく、かえって採りやすくなるケースも多い。その様子を前回、「割れ鍋に綴じ蓋」「凸と凹の関係」と表しています。
ただ、「短所さえも出てこない」もしくは「明らかに誰もが嫌う絶対的なマイナス情報しかない」という場合はどうしたらよいでしょうか?
アピールできることがなければ新たに作ればいい
この場合、将来のビジョンや展望を語り、改革を繰り広げる企業が多いと以前書きました。ただ、それは、あくまでも絵空事であり、求職者には響きません。求人広告を見れば、そんな戯言(ざれごと)が百出しているのです。だから求職者も目が肥えて「ああまたか」と信じてくれない。求人訴求には「百の将来像」よりも、現実が重要!でも、語るべき事実は現在ない。
さあ、こんな時はどうしたらよいでしょうか。
今回は、「どうやっても特徴が見いだせず、アピールしようがない」企業の対策です。私はそんな時は、こう言うのです。
「だったら、作ってしまいましょうよ!」
え?おためごかしなエピソードでもでっちあげるのか?!いいえ、ご安心ください。そんなインチキをするわけではありません。
作るのは「制度」です。
応募者が喜び、応募したくなるような「社風」「技術」「環境」などは一朝一夕に培えるものではありませんが、制度はけっこう簡単に作れます。そして、制度は求職者の応募意欲を喚起するだけでなく、入社後の彼らを「守り」、そして、会社自体をもじわじわと変えていくのです。
だから私は、「将来会社をこう変える」と絵空事を語るよりも、「今すぐに制度を作れ!」と企業に話します。そして、その制度をうまく運用するノウハウを蓄積し、それにより会社を変えろ!とも。
リクルートには「自ら機会を作り、機会により自らを変えろ」という社訓(江副浩正言)があります。それをもじって、「自ら制度を作り、制度により自らを変えよ」なんて、私は呼んでいます。以下、実例を示すことにいたしましょう。
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