世の中には「少数派」が何百万人もいるという事実

 実は、このケースはかつて、私が、女性求人誌とらばーゆの求人制作を担当したものです。上記を踏まえて第一に選んだネタは、1、11、12。広告のキャッチフレーズは

 「7名のおじさん、おばさんは、あなたが来るというのでドキマギしています」

 でした。

 ターゲットは分かりますか?

 奥手で地味で、同年代の同性の派手さについていけず、もちろん異性は緊張する。そんなタイプ。この会社はそういうおぼこさんを、やさしく迎え入れてくれるからです。

 確かに、こんなシャイな奥手タイプは、若者全体の1割にも満たない少数派でしょう。でも、先ほどのリクルート社のケースと同じです。当時のとらばーゆの読者は20万人もいました。そのうち1万人程度は、こんな風にシャイで奥手な人でしょう。でも、誌面に並ぶ広告は、きらびやかで多数派の若者が喜びそうなものばかり。だからこの1万人は応募先に難渋しています。そこにこの広告。これはまさにブルーオーシャン状態でしょう。勤務地の蒲田も、この場合はむしろプラスに感じてもらえるはずです。

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なぜか機電系学生を大量採用できている会社

 こうした「絞れば強くなる」法則はどこにでも使えるのです。前回は、「30歳前後の結婚を考えているSE」、「超高学歴フリーター」に絞って、それようの社内ネタをキャラ立てして訴求した例を書きました。女性求人誌、中途のSE、新卒のSE、全く違う場面で使えていることに気づいてください。

 たとえば、三菱電機ビルテクノサービスというエレベータの保守管理を事業とする会社は、毎年、理系人材、それも多くは国立大学機電(機械・電気・電子)系卒業生をけっこうな数、採用しています。採用に携わる人なら、国立機電系採用の難しさは良くわかるでしょう。ソニーやNTT、トヨタでさえ、採用枠を充足するのに四苦八苦しているゾーンですから。

 なぜこんな芸当ができるのか?

 確かに同社は大手の冠系で給与も高い。ただ、条件が同じ大手系昇降機メーカーも、世界No1の外資系メーカーも採用には悩んでいます。なのになぜこの会社はうまくいくのか。

 これも、ブルーオーシャン戦略のたまものです。

 かつて同社で採用部長をされていた二馬康昌氏にリアルタイムで聞いた話なのですが、その絞り方が面白かった。なんと、「パソコンの設計画面とにらめっこばかりは嫌だけど、理系の知識を活かしたい、そういう学生」をターゲットにしているとのこと。

 氏いわく、「どの理工学部にも、『研究室の上下関係は嫌だ、パソコンとにらめっこは嫌だ』という人はいるんだよ。そりゃ、1割とか2割とかだけど。でも文転就職するのは不安だし、今までの知識も生かせないと悩んでる。そういう学生を狙えばチャンスがあるんだ」。

 まさに、私がうたうブルーオーシャン戦略そのものでした。

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