GMARCH、旧帝大卒がゴロゴロ働く100名のシステム会社

 人材獲得競争が厳しい、IT系企業での採用成功例を続けて挙げてみましょう。

 東京・上野にあるコガソフトウェアは、100名ほどの独立系システム開発企業です。プロフィールを聞く限り、もう絶望的に人材難に悩んでいるイメージが目に浮かびますね。ところがこの会社、新卒で毎年10名程度、余裕で採用できています。それも、GMARCHクラスは当たり前。早慶、東大卒も多数在籍している。驚きではありませんか?

 もちろん、環境や高齢化など次世代のテーマに早くから取り組んでいたことが人気の一因ではあります。もう一つ、頭脳明晰な高学歴者でキャリアに悩んでいるような人たちを、進んで受入れ、見事に育てて花咲かせたということが一つのブランドになっているのです。

 高学歴者でもフリーターをしていたり、もしくは就職せず塾講師となったりと、行く末に悩む人は少なくありません。彼らが同社ではスターになっている。しかもそれをアピールするために「しくじり学園採用」なる会社説明会を開いていたりするのです。

コガソフトウェアの「しくじり学園」会社説明会風景
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コガソフトウェアの「しくじり学園」会社説明会風景

 実は私も、この会社に東大法学部卒、司法試験浪人生という「しくじり者」を私的に紹介して、採用いただきました。そんな話が噂になり、高学歴オタクの多い秋葉原では、「高学歴で困ったらコガに」という合言葉まで語られていると聞きます。ものすごいキャラ立ちですね。


 振り返っておきましょう。ビジネスの基本は「顧客あってこその商売」だということ。その鉄則を貫いてください。

1. まず、採用ターゲットを決める
2. 続いて、ターゲットが決まったら、今度はしっかり彼らが喜ぶネタをそろえる

 最低でもこの作業は忘れずに行いましょう(ネタがどうしても出てこない、という企業については、次回、「ネタの作り方」のヒントを差し上げます)。ただし、せっかくネタがあっても、雑多に羅列するだけでは、相手は混乱し、読み飛ばしや聞き流しが起きてしまいます。だから

3. ターゲットの心に届くよう研ぎ澄まして情報を絞り込む

 これは「情報は多いほどいい」と考えている企業にとっては、反発があるかもしれませんが、ぜひ、実施してほしいところです。そして

4. ネタから逆算してそれが心に突き刺さるように「ターゲット」も絞り込む

 全員に投網しても効果は上がりません。漁場を見据え、そこに網を張る。その絞り方が勝利への道筋ですね。

5. 絞った「ネタ」と「ターゲット」両方にらんで、キャラ立てをする

 ただしこれはクリエイティビティやビジネスセンスがないと、少し難しいかもしれません。こうしたところで、腕のいい広告制作や、リクルーティング・アドバイザーなどの腕を借りる価値があります。

 どうですか?御社の採用を強くする手法が見えてきたのではないですか? これは、新卒・中途両方で活用できるノウハウです。

[Human Capital Online 2021年12月9日掲載]情報は掲載時点のものです。

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