できてます?マッチングとスクリーニングの使い分け

 さてさて、せっかくここまで読んでいただいたので、アセスメントの機械的利用法で、1つ実施可能なものを書いておきますね。

 まず、「マッチング」と「スクリーニング」という、似ているけれど、実は全く異なる言葉について説明しておきます。マッチングとは、ある集団の中らからピッタリなものを抜き出す作業。スクリーニングとは、ある集団の中から、全く違うものを排除する作業。この2作業の使い分けることで、アセスメントの機械的利用法が見えてきます。端的に言うなら、敗者復活にはマッチング法、内定候補者の最終確認にはスクリーニング法が効くのです。敗者復活に用いるマッチング法は簡単なので、こちらから説明いたします。

 マッチング法とはそれこそ、真っ先に説明した有効因子の掛け合わせ選抜で構いません。この基準で選抜すると「完全無欠な好業績候補」しか残らず、いくつかの因子に難点のある好業績候補者は振り落とされてしまいます。それが厳し過ぎるから、大量の機械選抜では使えないと書きました。

 ただ、既に「不合格」となってしまった大量の応募者に再チャレンジのチャンスを与える場合には、マッチング法を使うのが良いでしょう。人気のある大手企業の新卒採用では、1万人以上の不合格者が出てしまうこともあります。そこから、掛け合わせ法で絞った本当に文句のない人たち、20~30人が、敗者復活する。偏差値や校名、エントリーシート落ちした人の中でも、こうした隠れた優秀人材に日を当てることができ、それは採用の多様性にもつながるでしょう。

ゆるゆるの基準で内定者を最終確認

 さて次は内定候補者の最終確認でのスクリーニング活用です。こちらも使うのは一番簡単な単純掛け合わせ法でかまいません。ただし、敗者復活では基準スコアは「好業績者の8割が入る」ラインとしていました。これに対し、スクリーニングは「明らかに異なっている人のみを除く」という目的のため、より多くの人が選抜に残り、絶対に芽がない人だけを落とすようにすべきです。ということで、基準スコアは「好業績者の10割が収まる」ラインにしてください。こうすることで、許容範囲はかなり広がり、落とされる人は少なくなるはずです。

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 さらに言えば、10割基準なのだから、社内の好業績者は全員がこの基準をクリアしています。つまり、「落とされる好業績候補者」は、ほぼいないでしょう。ここまで、基準を緩くしたので、選抜効果はほとんどなくなっています。このゆるゆるの基準すらクリアできないようだと、たとえ面接や書類選考で高得点をとって内定候補となっていても、さすがに考え直そう――という時に使うのがスクリーニング法のポイントです。

 実際、多くのSPI利用企業を見ていると、言語・非言語(算数・国語)のテストについては、基準点を設けてそれで一次選考をするケースがよく見られます。一方で、性格特性の方は、扱いに難渋しているというのが本音でしょう。このテストで機械的に選抜はできないため、結局は、面接のときの人物把握に役立てたり、もしくは、入社後の配属の時に参考にしたりといった使い方が関の山で、後は、極端に両端に振れた人を不合格にするくらいの使われ方しかしておりませ ん。

 ここに、マッチングでの敗者復活、スクリーニングでの最終確認、という2手法を加えると、採用は「ちょっとだけ」進化するはずです。

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[Human Capital Online 2021年11月4日掲載]情報は掲載時点のものです。

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