多くの好適者がはまってしまう「選抜理論の誤謬」

 まず、Web-IMRでは好業績者・低業績者にそれぞれ最低でも20人程度は受験をしてもらうことが必要です。職種別傾向を知りたいときは、職種ごとにこの作業が発生します。結果、お金も時間もかかることが一つ目の問題でした。

 2つ目は、この図表のようにくっきりとした選抜因子が見えないことが結構あったことです。

 そして3つ目が「誤謬」です。たとえば、上記図のような選抜因子だった場合、社内にいる好業績者でも5因子の基準をクリアできる人は、0.8の5乗なので約33%。ということは、もし、この基準で採用選抜を行った場合、現在社内に在籍する好業績者の67%、つまり3分の2は不採用となってしまう(*1)。これが、誤謬です。

 では5因子を使わずに、より選抜効果の高い3因子(図中では黄色の文字)を基準にしたとしましょう。それでも、社内の好業績者のうち基準をクリアできるのは0.8の3乗である51%となり、ほぼ半数は不採用となります。そう、この因子基準法を使うと、現行の好業績者が基準から外れてしまう、「ダダ漏れ」が起きてしまうことに、Web-IMRを採用した会社はほどなく気づいてしまったのです。

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*1 各因子が完全に独立だった場合の試算。従属性の高い因子があれば、ここまでの減損は生じないが、その分、選抜効果はなくなるし、どちらか1因子のみで十分ということになる。

加算法、面積法、クラスター法などなど、死屍累々

 アセスメントの活用法についてまだ希望を捨てきれない人のために、もう少し、因子選抜について書いておきます。

 5因子を使った単純掛け合わせの選抜だと、ダダ漏れになると分かりました。そこで、「5因子のうち、ある因子が低くても、他の因子が高ければ補える」という敗者復活ロジックを加えたものが、アセスメント選抜ではよく使われます。こちらは「加算法」などと呼ばれ、5因子の合計得点で選抜をする。ただ、この方法だと、1因子だけ飛び抜けて高いと他の因子が全くダメでも選抜を通過してしまいます。結果、玉石混交度合は高まるし、社風に合わない異質な人間がかなり多く残ってしまう……。

 この加算法もやはりうまくいかないということで、さらに考えられたのが、5軸でレーダーチャートを作り、その面積が基準に達しているかどうかを見る「面積法」です。こちらの場合、確かに少数の軸だけ高得点を取っても、レーダーチャートの面積は小さくなるので、選抜俎上(そじょう)に上ることはないでしょう。ただし、やはりいくつかの因子がへこんでいたり、でっぱり過ぎていたりと、合格者のレーダーチャートの形は様々になってしまいます。面積基準はクリアしているとはいえ、全く異なる形のチャートを持つ人を集めて人柄などをそろえられるのか。ここも大いに疑問がわくため、やはり用いられなくなっていきます。

 それなら、5因子で作るレーダーチャートの形の類似性を使ったらどうか、というので「クラスター法」が試行されました。ただ今度は、形が同じなら面積が違ってもいいのか、という問題が生まれます。そこで今度は面積法とクラスター法の両用を考えるのですが、それだと、単純掛け合わせ法同様に、絞り過ぎのダダ漏れが起きる……。

 結局、機械的なアセスメント選抜というのは、なかなか成り立たないものなのです。

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