モリカケ応募者の人間性もすーっとわかる「SSI」
話が横道にそれました。もっと、応募者の人間性、とりわけ定着を分ける5つの相性軸に絞ってインタビューをしたいときに、良い方法があるのです。それが、状況設定面接(Situation Setting Interview=SSI)。「こんな場面だったらあなたはどちらを取る?」と二択のクイズ形式で質問をし、そこから深く切り込んで、人間性に迫る、というものです。
BEIの場合、モリカケ以外にも、こちらの聞きたい話がなかなか出てこないという悩みもあります。対してSSIなら、そもそも聞きたい話に絞って「クイズ」を作成すればよいから、ズバリと核心に迫れます。それも、「あなたは、競争的ですか、協調的ですか」などといった直接的に過ぎる質問ではなく、クイズ感覚で楽しみながら本音を聞くことができます。
たとえば、「あなたは情を取るか、理を取るか」を聞きたいのだったら、こんな質問を用意します。
A.下手に期待をさせて後でできないのは返ってよくないから、正直に無理と伝える。
B.無理は分かっているが、先輩の辛い顔を見ていられない。考えがまとまらず戸惑う。
仮に、応募者が「A」と答えたなら、さらに以下のように質問を連発して確認を取っていきます。
こんな感じで次々と畳みかけていくのです。その時の相手の反応を見ながら、「かなり強い“理”より」「やや“理”より」と判断していくわけです。
オリジナルなSSI作りの一例を
5軸に対して行うSSIの一例をお見せしましょう。
質問:あなたは今日、とってもレベルの高いイケメン(美女)が相手の合コンに仲間と5人で出る予定です。ところが仲間のうち3人が発熱や急用で来られなくなってしまいました。残りの1人は、決行しようか別の日に再設定しようか思案している状況です。さあ、あなたならどうしますか?
A.相手もこちらが2人じゃつまらないだろうし、仲間にも悪いから再設定する
B.自分も他の予定をキャンセルして参加するんだから、来ない方が悪い。なので決行
<革新⇔伝統>
質問:あなたは地元のイベントでカレー店を開くことになりました。どちらのカレーを作りたいですか?
A.地元の名産物や名物料理を盛り込んだ、その地ならではのカレー
B.カレーは赤・黄・茶・黒・白・緑と多色あるのに、青だけはない。ならば青の「サファイヤカレー」を作りたい
<行動⇔思考>
質問:あなたは、最新式のWi‐fiテレビを買いました。俗に“アンドロイドTV”と言われるもので、ネット直結で動画視聴やネットサーフィンなどもできます。また、常時録画機能があり、聞き取れなかった場面の振り返り再生や、時間がない時に1.5倍速視聴なども可能。ただ、あまりにも機能が多彩なため、リモコンにはたくさんのボタンが並んでいて、何を押せば良いか、なかなかわかりません。さああなたは、以下のどちらですか?
A.しっかりとマニュアルを読み、大体の操作法を頭に入れてから、今すぐやりたいことの機能のボタンを探す
B.電源ボタンを押し、あとは適当にガチャガチャいじりながら、わからないとき、マニュアルを読む
<スピード⇔緻密>
質問:あなたは今、料理コンテストに出ています。5品を20分で作らなければなりません。1品目のお題は、チャーハンです。さて、あなたはどちら?
A.レシピを見ながら、具材と調味料それぞれ指定の量をきっちり測り、また、炒め時間などもきっちりタイマーで確認しながら作る。たとえ時間がかかって5品全部作れなくなったとしても、作ったものに関しては高得点が取れるので、それでいい
B.レシピはざっと見るが、具材や調味料は目分量で計り、途中で味見をしながら加減する。炒め時間も同じく。1品目でのろのろしていると、その後の難しい料理に時間が取れないので、ここは素早く仕上げて、時間を稼ぐ
どうですか?こんな感じで楽しんで、オリジナルの「難題」を開発してみてください。問題の作り方のポイントは以下の3つとなります。
2. どちらの選択肢にも社会的な善悪の通念はなく、気兼ねなく選択ができる
3. どちらを選んでも、二の矢、三の矢と畳みかける質問を用意する
この手法では、相性の5軸だけでなく、仕事の進め方や対人関係などで、広く聞きたいポイントをA,B二択にしてヒアリングすることが可能です。社会人で職務能力の深さやチーム統率力などを聞くときも、BEIだとやはりモリカケになるのでSSIを活用するのは一考に値するでしょう。たとえば、私のような編集者を採用する時であれば、「取材型⇔資料分析型」「事実積み上げ型⇔直感推論型」「現実重視⇔理論重視」を軸にSSIができるでしょう。こんな感じで慣れると色々使えますよ。
[Human Capital Online 2021年10月14日掲載]情報は掲載時点のものです。
「経営環境篇」「社風と人材篇」「採用篇」「組織設計と育成篇」の4つのパートで会社を変えるための実践的な作戦を展開します。ぜひご一読ください。
人事リーダーのための専門メディア「Human Capital Online」

Human Capital Onlineは「人的資本」の価値向上を目指し、人材戦略と組織開発に取り組む人事リーダーのためのメディアです。先進企業の戦略が分かるCHRO(最高人事責任者)インタビュー、HRテクノロジーや雇用のファクトを解説する連載、DX人材育成など、日本企業人事変革の最前線をお伝えします。
Powered by リゾーム?