10年で500万人もの産業人口が減る日本で、労働力として存在感を高めつつあるのが外国人就労者。様々な問題が指摘されているが、既に飲食・サービス・流通業大手では欠かせない戦力となり、「留学→新卒採用→永住」のルートも確立している。

絶望的なまでの人材不足が起きる非ホワイトカラー領域での対応策の一つとして、RPAによる職務の「誰でも化」と派遣社員による「人材の多重活躍」を前回書きました。実際、社会や法制度もそちらの方向にすでに動いていることも示しています。
ただ、10年で500万人もの産業人口が減る中では、とてもこれだけでは対応しきれないでしょう。そこでいよいよ、「外国人就労」を考えていくことにします。外国人就労については、働く側の外国人への配慮、日本人で働き口がない人への配慮、異文化異慣習と共生することへの社会不安など、さまざまな問題が生じるため、軽々にこの方策を進めることはできません。色々な策を検討した上で、最後の一手として、外国人就労を考えていきます。
200万人!全就業者の3%にもなる外国人就労者
日本は島国で海外との境界がはっきりしており、単一民族国家という誤解がはびこるほど、他民族の流入が限られた社会を形成してきました。そのため「移民」についてはある面タブーのように扱われていますが、一方で、街を歩けば、飲食店、物販店、宿泊業などで多々、片言の日本語で話す店員を見かけます。データで示すと、すでにもう200万人近くの「外国籍」就労者がいるのです。全就業者に占める割合は3%以上になります。
※これはあくまでも、就労ができるビザ(入稿査証)を持っている人たちの数なので、このほかに日本国籍を取得して帰化した人や、違法労働者も加えると、実数はさらに多いでしょう。
1996年から生産年齢人口の減少が始まった日本は、高齢者と女性の就労参加でしのいできました。が、直近では高齢者・女性とも明らかに就労者増が頭打ちとなり、女性に限っては2020年よりマイナスに転じてもいます。
代わって外国人が労働力補填の主役になりつつあり、コロナ禍で入国審査が著しく厳しくなった2020年度もその就労数は増加を続けています。一体彼・彼女ら外国人は、どうやって職に就いているのでしょうか?その疑問に答えるところから始めたいと思います。ビザの種類から以下のように分類できるでしょう。
(1)身分に基づく在留 53.2万人(永住者・定住者・日本人の配偶者・外国人就労者の家族)
(2)技能実習生 38.4万人
(3)資格外活動(留学生)37.3万人
(4)専門的・技術的分野32.9万人
※2019年 厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況より
以下、分かりにくい部分のみ、補足をしておきます。(1)の区分に入る永住者とは、日本に10年以上定住し、そのうち半分以上を就労していた場合に認められる滞留資格者たちとなります。定住者は南米などに移民した元日本人の2世・3世を指します。
また(4)については、「専門的・技術的分野」と書くと、とても高度な技術や知識を持つ人が日本に来ているように見えますが、これも中身は異なります。この資格で滞留する人の多くが、「日本の大学などを卒業して、日本企業に就職した外国人」です。近年、留学生から新卒就職する外国人が増え、その数は毎年3万人に上ります。 彼・彼女らは就職に伴い、学生ビザから「専門的・技術的分野」のビザに切り替えます。さらに規定年数に達したところで「永住者」申請をする、という流れとなります。就職後、永住権獲得までに至るモラトリアムな「専門的・技術的分野」の在留者が、約20万人になるでしょう。
この「留学」~「永住」に至る過程をもう少し細かく見ていくことにします。
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