マイクロワーケーションは、実践者数を底上げする?

 観光庁の「『新たな旅のスタイル』に関する実態調査報告書」によると、ワーケーションの社会的な認知度は約8割に上ります(実施した経験がある4.3%、会社では実施しているが自分は経験がない7.4%、会社で実施しておらず自分も経験がない58.2%、聞いたことはあるが意味を知らない9.2%の合計)。しかしながら、経験者は約4%といまだに低水準です(実施した経験がある4.3%)。

(出典:観光庁「新たな旅のスタイル」に関する実態調査報告書より)
(出典:観光庁「新たな旅のスタイル」に関する実態調査報告書より)
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 一方で、従業員のワーケーションへの興味関心層は約28%あります(非常に興味がある9.0%、興味がある19.2%)。

(出典:観光庁「新たな旅のスタイル」に関する実態調査報告書より)
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 関心はあるのに実践できていない――そうした中、実践のハードルを下げやすい手段となり得るのがマイクロワーケーションだと筆者は考えています。前述の通り、筆者自身も、周りのリモートワークができるフリーランスや会社員も、マイクロワーケーションを実践するようになっているからです。そうした実践者の声をもとに実感しているメリットは以下の3つです。

(1)時間と費用を節約できる
遠方のワーケーションでネックになるのが移動や荷物をパッキングする時間。交通費や宿泊費もかさみます。でもマイクロワーケーションであれば、費用は近場までの電車賃やコワーキングスペースやカフェの利用料程度。移動の時間も含め、コストが抑えられます。
(2)会社のルールに縛られにくい
ワーケーションで会社員の足かせとなるのが就業規則です。遠方でのワーケーションに赴きたくても、出張ではない自分の都合で数日間オフィスを離れることを会社が認めないケースもあるでしょう。マイクロワーケーションであれば在宅勤務と勤務形態が近く、セキュリティーなどの課題をクリアすれば、リモートワークの範囲内で実践しやすいはずです。
(3)手軽に非日常を経験できる
オフィスや自宅など日常空間では新しい発想を生みにくいもの。だからこそ非日常のワーケーションに意義がありますが、それはマイクロワーケーションでも同じです。行ったことのないカフェやコワーキングスペースに足を運んだり、季節に左右されるものの河川敷や公園など自然の中でリモートワークをしたりすれば、手軽な非日常の経験から仕事のアイデアにつながりやすいといえるでしょう。

 宿泊を伴う遠方のワーケーションは、その土地ならではの暮らしを体験できる醍醐味がありますが、働く場所が固定している会社員の場合は実施へのハードルが高くなりがちです。

(4)新たな出会いが得られる
コロナ禍で減ってしまった異業種との交流や他者からのインプット、アウトプットする機会。リアルなセミナーや発表機会が減ってしまっているからこそ、マイクロワーケーション先で得られる利害関係のない接点は、アイデアやひらめき、モチベーションにつながることがあるはずです。

 筆者は、ワーケーションが万人向けの生活スタイルとは思っていません。ただし、ワーケーションに興味関心があるにもかかわらず実践できていない人がいるのであれば、実践を妨げているハードルを下げる策を考えていきたいです。

 マイクロワーケーション実践者は、日常から少し離れただけでも、気分が変わったり新たな発想が生まれたりすると話します。従来のワーケーションのイメージから一歩進んで、“マイクロ”なワーケーションを試してみる。そんな動きが水面下で進んでいけば、ワーケーションが普及促進していく一つの道筋になっていくのではないでしょうか。

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