どんなところでも場所を選ばずに働くことができる──。そのような柔軟な働き方はかつて、フリーランスや一部のベンチャー企業社員の「特権」といわれてきました。しかし、新型コロナウイルスまん延の影響で働き方の裾野が広がり、一般企業の会社員にとっても働き方の選択肢が広がってきました。そうした中、副業や週休3日制などとともに注目を集めているのが、「ワーケーション」です。ワークとバケーションを組み合わせた造語で、旅先など非日常の場所に赴いて「仕事をしながら休暇を取る」あるいは、「休暇を取りながら仕事をする」過ごし方を指しています。

 筆者は、フリーランスの編集者として独立した2014年から足掛け8年「(旅先で)休暇を取りながら仕事をする」形のワーケーションを実践してきました。当時幼稚園に通っていた息子の預け先がなかったことがきっかけでした。1カ月間半もある幼稚園の夏休み期間に、仕事時間を十分に確保できなかった筆者にとって、夫や両親が面倒を見てくれる家族旅行中は、絶好の仕事タイムとなりました。そうした、家族旅行の回数を重ねるうちに、“場所を変えて働く”ことが、自分の仕事にも家族のプライベートにも、そして滞在先にもメリットがある「三方良し」の関係だと気づきました。結果、個人的にワーケーションの実証実験をするようになったのです。

 本連載では、筆者の試行錯誤の実体験や、現在地方自治体と連携してワーケーションを推進している立場から気づいたことをもとに、ワーケーションの「リアル」を浮き彫りにしていきます。

 第1回で紹介するのは、ワーケーション初心者に向けた3つの心得です。

次ページ そんなに簡単じゃないよ「ワーケーション」