「無印良品」を運営する良品計画の2022年8月期第3四半期連結決算(21年9月1日~22年5月31日)は厳しい結果となった。売上高は前年同期比で7.5%増の3707億円と過去最高となったものの、営業利益は248億円と前年同期比29.4%減と大幅減益となった。中国のロックダウン(都市封鎖)や衣服・雑貨販売で苦戦、さらに原材料の高騰、海外からの輸送コスト増などが収益悪化につながっている。そんな中、良品計画は新規店舗の拡大とともに、他社とのコラボレーションを進めている。

(写真:PIXTA)
(写真:PIXTA)

 22年5月からはコンビニエンスストアのローソンで本格的な商品展開を始めた。20年6月に実験販売を開始し、東京都、千葉県、埼玉県の約110店で展開している。これを関東甲信越地区で約5000店に拡大し、23年中をめどに全国展開する予定だ。同じグループにあったファミリーマートに19年1月まで文具やプチプラなどのファッションアイテム、フードなどを提供していたがくら替えした形だ。

 同じく22年5月には、千葉市、都市再生機構(UR都市機構)、MUJI HOUSE(東京・豊島)と共同で「NUJI×UR 団地丸ごとリノベーション」プロジェクトを花見川団地(千葉市)で実施すると発表した。住宅のリフォームだけでなく、団地全体の空間設計や商店街のリニューアルにも携わる。また、プロジェクトの一環として、22年5月~6月には、良品計画による自動運転バス「GACHA」の走行実験を行っている。

 これらの動きが業績に寄与するには時間がかかるだろう。だが、良品計画の強みは培ってきたブランディングだけでなく、他企業とのコラボレーションにもあった。今回、紹介する記事は、20年以上前、製造を外部委託する家電製品を良品計画がいかにしてヒット商品として仕上げたのかを取り上げたものだ。

 その経緯を見ると良品計画らしいこだわりで、中途半端な迎合商品や、コストカットアイテムを作らなかったことが分かる。現在、進めているコラボレーションにも、当時のようなこだわりを貫く姿勢が必要になるのかもしれない。

 以下の記事は日経ビジネス2001年12月3日号の時流超流「『無印』冷蔵庫が絶好調」を再掲載したものです。登場する人物の肩書、企業・組織名、資本・提携関係、表現などは原則として掲載時のものです

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