地域重視の金融庁方針で連結対象方式が主流

 全国の地方銀行が、企業再生支援会社の設立に乗り出している。

 3月には福岡シティ銀行がオリックスと共同で「シティ・ターンアラウンド・サポート」を設立した。福岡シティ銀と合併予定の西日本銀行も、昨年10月に米メリルリンチグループと一緒に企業再生会社を作っている。

20行近くが設立を検討

 金融関係者によると「北海道から九州まで20近い地銀が再生支援会社の設立を検討中」という。これまで再生支援といえば、政府が設立した産業再生機構や大手銀行系列の会社が目立ったが、今後は地方銀行による取り組みが活発になりそうだ。

 地銀の再生支援会社には、いくつか特徴がある。

 まず、再生支援会社は銀行の関連会社となり、銀行本体の連結決算に組み込まれる点だ。大手行の場合、三井住友フィナンシャルグループのように連結決算の対象としない形態もあったが、地銀は関連会社とする方式が中心になる。経営不振の取引先の再生を支援会社に任せても、銀行本体との関わりは切れないことが眼目だ。

 設立パートナーからの出資が銀行の自己資本を増やす効果もある。福岡シティ銀の場合は、オリックスからの88億円の出資を受けて、連結自己資本が5.8%と0.4%増えた。西日本銀行もメリルリンチから総額100億円の出資を受ける予定で、連結自己資本比率は0.4%増えて8.8%になる見込み。

 企業再生ノウハウを提携先に求めている点も目立つ。西日本銀は、先端的な金融商品を持つメリルと組んだ。福岡シティ銀の場合は、パートナーとして国内と海外から約10社が手を挙げたが、九州地方で企業再生案件を多く手がけているオリックスを選んだ。

 地銀が続々と企業再生支援に乗り出すのは、金融庁が昨年3月に定めた「リレーションシップバンキング行動計画」と不良債権処理が背景にある。金融庁はこの計画の中で、各地銀が地元の企業の支援や育成を強めるように新たな施策を求めている。地銀・第二地銀が抱える不良債権(金融再生法開示債権ベース)は昨年9月末で13兆7270億円。貸出金残高に占める比率は7.6%と大手銀行(6.5%)を上回る。合併計画を進めている地銀も少なくないため、不良債権処理を急ぐ。

 連結対象の再生支援会社の場合、銀行本体から不良債権を減らしながらも、地域性重視を示すために取引先の再生を見届ける姿勢を保てる。

 これまでは再生ファンドや政府系銀行との提携が多く見られた。しかし再生ファンドを作ったものの、再生案件が1つもない例もある。支援先が出ていない提携も見られる。連結対象の別会社方式に関心が高まっているのは「再生の主体と責任が明確になる」(福岡シティ銀の案件に関わったUBS証券投資銀行本部の坪山昌司エグゼクティブ・ディレクター)との判断もある。米ゴールドマン・サックスもこの分野で地銀との合弁や新会社設立の仲介事業を強化している。

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