地方銀行の統廃合は、ここ半世紀で大きく進んだ。中でも第二地銀は1972年度の72行から37行とほぼ半減している。低金利や地方の人口減少、地方経済の停滞などが要因だ。

 そうした中、地銀が注力しているのが、企業のM&A(買収・合併)業務だ。M&Aが求められる理由は後継者の不在、事業不振、事業エリアの拡大を目指す企業による買収など様々だ。地銀からすれば、M&Aによる手数料を得られるだけでなく、立ち行かなる地場企業を救ったり、融資が回収できなくなる事態を避けたりできる。融資などの既存事業だけに頼っていられない地銀にとってM&Aは無視できないものになっている。

(写真:PIXTA)
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 とはいえ、M&A事業は一朝一夕に参入できるほどブルーオーシャンな分野ではない。M&A仲介を専門に行う民間企業や投資銀行など、プレーヤーも多い。そのため、M&Aに乗り出した地銀の中でも明暗が分かれつつある。

 地銀が融資以外の事業を始めたのは最近のことではない。今から約20年前には「企業再生支援」ブームが起きている。当時から地銀は新たな事業分野の開拓に力を入れざるを得ない状況にあった。そんな地銀がどのように、企業再生支援の事業に乗り出していったのか。今回は、当時の記事を振り返ってみる。

 M&Aと同じく、企業の再生支援も地銀以外の他業種が先行していた。記事にもあるが、不良債権処理など副次的な効果を期待して参入しても、本腰を入れて取り組まない限り、再生支援の成果は上がらない。その点では、現在のM&Aブームと似たところもある。読者のみなさんにはどのように映るだろうか。

 以下の記事は日経ビジネス2004年4月5日号の時流超流「地銀に再生支援会社ブーム」を再掲載したものです。登場する人物の肩書、企業・組織名、資本・提携関係、表現などは原則として掲載時のものです

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