2000年度のキャッシュフロー計算書からは、有利子負債の膨張による利息支払いの増加で、営業活動の資金繰りに支障が出ていることも予想される。運転資金の回転状況を見れば、実情をある程度把握できる。

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 売上債権(受取手形、売掛金)の回転期間(月)は0.22と、前の年度の0.17よりも延びている。帝国データバンクが算出した業界平均(基準比率)0.18を上回っており、同業他社と比べても資金回収が遅くなっている。棚卸し資産についても同様だ。仕入れ債務(支払手形、買掛金)の回転期間(月)は1.46と、前の年度の1.18や業界平均の0.87を上回り、支払いも遅らせていることが分かる。

 支払期間の長期化は企業の信用力の裏づけとも言われるが、仕入れ債務の回転期間が同業他社と大きく乖離しているような場合は何らかの事情があると考えた方がよい。一般的に想定されるのは資金繰りの悪化だ。支払いを延ばしてキャッシュの流出を防げば、その分を運転資金に充てられるからだ。

 マイカルもこれに該当する。下に示した売上高経常利益率の推移に表れているように、収益力の低下や資金回収の遅れを補うために支払いを延ばして資金繰りを調整していたと考えられる。財務内容が悪化していたのだから、支払期間の長期化が信用力によるものでないことは明らかだ。結局、マイカルは資金繰りの窮状を第一勧銀など取引銀行からの融資で凌いできたが、支援が打ち切られたことで資金ショートを起こして破綻したのだ。

手元資金を取り崩したセガ

 破綻こそしていないが、厳しい経営状況にある企業のキャッシュフローはどうなっているのか。2001年度(決算期末は2002年3月末)まで5年連続で連結最終赤字に陥ったセガの例を見てみよう。

 連結キャッシュフロー計算書の開示が義務づけられた1999年度と2000年度はともに、フリーキャッシュフロー(純現金収支)がそれぞれ106億円、661億円のマイナスとなった。フリーキャッシュフローは企業が自由に使える資金で、営業活動で獲得したキャッシュから投資活動で支出したキャッシュを差し引いて算出する。セガは2期続けて営業活動で十分なキャッシュを獲得できなかったため、こうした事態に陥った。

 高成長企業でもフリーキャッシュフローはマイナスになる。豊富な投資機会があることから、果敢に設備投資などを実行するため、営業活動で得たキャッシュだけでは足りなくなるからだ。高成長企業でないにもかかわらずフリーキャッシュフローがマイナスであるのはどんな企業だろうか。典型例は経営不振企業だ。

 フリーキャッシュフローがマイナスの場合は、借入金や起債など財務活動によってキャッシュを賄うことが多い。だが、それによって負債が膨らみ財務内容が悪化するという悪循環に陥ることも多い。セガにとって深刻だったのは、1999年度と2000年度が転換社債や社債の償還期であったため、財務活動で十分なキャッシュを確保できなかったことだ。

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 1999年度には転換社債の償還に伴う294億円の支出が響いて、財務活動は216億円の支出超過となった。フリーキャッシュフローのマイナス分と合わせた不足分約323億円については手元資金を取り崩して対応した。

 2000年度も社債の償還に伴う881億円の支出があったが、第三者割当増資で1014億円を調達し、何とか財務活動で45億円を確保できた。それでも、フリーキャッシュフローのマイナス分を賄えず、差し引き不足分616億円はやはり手元資金を取り崩して対応した。

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