進化するユニクロ包囲網

 さらに、競合他社による包囲網も着実に広がっている。ある証券アナリストは「ブームを牽引した若者がユニクロに来なくなり、残った主婦など価格に敏感な客が総合スーパーに奪われている」と分析する。

 イトーヨーカ堂で衣料部門を統括する日ノ沢章常務は、「以前は中国で縫製しても日本で最終加工が必要な商品が多かった。この1~2年、最新設備の導入と技術指導によって、全工程が中国で済むようになり、品質、価格競争力が一気に向上している」と言う。

 ライバル他社は、中国生産によるコスト削減だけでなく、各自の創意工夫によって商品に磨きをかけている。価格はもちろん、品質やファッション性でユニクロが優位を保つのはますます難しくなっている。

 ユニクロブームは、それまで考えられなかった低価格・高品質の商品が登場した「驚き」と、東京・原宿への出店が象徴する立地戦略とが結びついて生まれた。しかし、ブームが沈静化した後も「ユニクロは安くて品質がいい」という消費者の期待を凌駕し続けなければならない。定番カジュアル衣料の限られた領域の中で、とどまるところを知らない消費者の欲望を満たし続けるのは容易なことではない。

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