どうなる陳腐化からの再起

 「飽き」「陳腐化」――。失速の理由を表現すればこうなる。弊誌のアンケートで来店頻度が減った消費者に理由を聞いたところ、「魅力的な新商品がないから」が回答の62.2%を占め、ダントツのトップとなった(下グラフ参照)。

 沢田貴司副社長は「欠品を減らすことが最大の目標となっていた」と振り返る。急増する需要への対応に気を奪われ、フリースに次ぐ新商品の開発がおろそかになった。それが売り場の新鮮味を損ない、急速な消費者離れを引き起こす結果を招いたのだ。

 小島ファッションマーケティングの小島健輔代表取締役はこう分析する。「1970年代後半のイタリアのベネトン、80年代後半の米ギャップ、90年代後半のユニクロ。ベーシックでシンプル、つまり工業製品的なカジュアル衣料を扱う企業の台頭は10年周期。ユニクロはその波に乗って急成長したが、需要の変化には対応できなかった。選択と集中で効率化を追求したビジネスモデル経営の限界ではないか」

 消費者の「飽き」に直面したユニクロは今後、定番アイテム一辺倒をやめ、季節ごとにデザインや色、シルエットなどでファッション性を強化した商品を一部取り入れていく方針だ。しかし柳井正社長は「フリースが爆発的に売れたのは、これからほかの商品でも同じくらい売れる可能性があるということ」と語り、過去の成功体験は生き続けると考える。定番商品への絞り込みが生む圧倒的なスケールメリットを生かせば、低価格と高品質を兼ね備えた商品を送り出し続けられる確信があるからだ。

 3月下旬から店頭に並ぶ、吸汗・速乾性能の高い生地を使った「ドライポロシャツ」もその確信を裏づける商品の一例だ。昨年も同じ生地を使ったポロシャツを販売したが、新素材を使ったのは胴体部分のみ。今年は襟や袖にも新素材を使い、紫外線カットや抗菌・防臭などの新機能を盛り込む。

 当然、昨年よりはコスト増となるが、価格は昨年と同じ1900円に据え置く。商品開発部素材開発チームの三木聡チームリーダーは「価格を上げずに完成度をいかに高めるかが商品開発の使命となっている」と説明する。柳井社長は「ほかのメーカーは付加価値の分だけ高く売ろうとする。うちはコスト増を自社で吸収できる」と言う。

 確かに、商品の企画から生産、販売までをコントロールする「ユニクロモデル」の追求によって、商品レベルを継続的に向上させることは可能だろう。ただ、それが消費者に驚きと新鮮さを与えられるかどうかは別問題だ。

 「ユニクロが斬新な商品を投入しても、同じブランド、売り場では爆発的ヒットは難しい」(アパレルメーカー幹部)と、単一ブランド戦略の限界を指摘する声もある。地道な商品の改良によって、消費者の購買意欲を再びかき立てるのは難しい課題であることは確かだ。

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