世界的な半導体不足の中、台湾積体電路製造(TSMC)の誘致など、半導体の安定供給化や国内生産体制の強化が模索されている。1980年代末、日本の半導体の売上高シェアは世界の50%を超えていた。だが、今では米国、韓国、台湾の後じんを拝している。どうして日本のシェアは低下したのか。

 日本は2次電池(蓄電池、充電池)や液晶ディスプレー、半導体などの電子部品分野で技術的に強みを持っていたものの、次第に厳しい立場に追い込まれていった。過去の日経ビジネスの特集では、半導体など電子部品事業の苦境を俯瞰(ふかん)し、その背景を分析している。

 今回紹介する記事では、マーケットがあると見れば、多くの企業が横並びで参入し、過当競争に陥ってしまう日本企業の体質や、強みだった技術開発で努力を怠ったことなどが衰退の要因として挙げられている。

 失われたシェアを、どのようにして取り返すのか。製造技術の標準化による競争力低下を防ぐため、付加価値の高い製品へシフトすることや、戦略的視点に基づいて技術開発を進めるなど、過去記事から示唆を受けることは少なくないはずだ。

以下の記事は日経ビジネス1999年2月22日号の特集「特集 近未来技術を逃すな」の記事「強いのに儲からない電子部品」を再掲載したものです。登場する人物の肩書、企業・組織名、資本・提携関係、表現などは原則として掲載時のものです

強いのに儲からない電子部品

 電子部品技術で日本企業は21世紀初頭も強いが、儲けにくい。特にこの分野は過当競争が起きやすく価格下落が頻繁だからだ。日本企業の横並びの開発姿勢やアジア企業の台頭が裏側にある。

 日本企業はこれまで、より小さく、薄く、軽くといった明確な目標を掲げ、1つの技術を磨き、高機能・高品質の製品にして世界市場を勝ち抜き、利益を上げてきた。しかし、今後もその強みを生かし続けられるかというと、容易ではなさそうだ。現在強い技術を持ち、21世紀初頭もその力を維持しそうな電子部品分野では特にそうだ。

 強い技術でいったんは先行しても、間もなく過当競争に陥り、価格下落で利益が取れなくなる傾向があるからだ。背景には、横並びで同じモノを開発する日本企業の体質、あるいはアジア企業の台頭などがある。電子部品分野を中心に「強い技術があっても儲からない」構造に陥りかけている。

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