動画で紹介した商品が次々ヒットし、注目される“TikTok売れ”現象。日経トレンディが選ぶ「2021年ヒット商品ベスト30」のトップにも輝いた。本シリーズは、TikTokを活用して消費や流通の新たな形に挑む企業や個人にフォーカスした著書『TikTokショート動画革命』(日経BP)の一部を抜粋、再編集してお届けする。

 シリーズ最終回は、日本事業をけん引するTikTok Japanの佐藤陽一ゼネラルマネージャー(GM)へのインタビューだ。佐藤氏は米マイクロソフトや米グーグルなどに在籍、メディアやテクノロジー業界で30年近くの経験を重ね、20年1月に現職に就任した。

 GM就任からの約2年間はコロナ禍とほぼ重なる一方、TikTokは音楽や書籍などのエンタテインメント作品を皮切りに様々なヒットを連発。そのパワーが一般消費財にまで広がり、「モノが売れるプラットフォーム」へと進化した期間と重なる。この間のTikTokの成長をどう見るのか。そして、今後の展望を語ってもらった。

<span class="fontBold">佐藤陽一(さとう・よういち)氏。</span>TikTok Japan ゼネラルマネージャー(GM)。東洋経済新報社、マイクロソフト、グーグルを経て、2019年9月にTikTok JapanにHead of Business Developmentとして入社。20年1月より現職
佐藤陽一(さとう・よういち)氏。TikTok Japan ゼネラルマネージャー(GM)。東洋経済新報社、マイクロソフト、グーグルを経て、2019年9月にTikTok JapanにHead of Business Developmentとして入社。20年1月より現職

 正直な話をすると、TikTokがきっかけでリアルな商品がここまで売れるようになるとは想定以上でした。ゼネラルマネージャー就任後に掲げた運営方針は、「まずはTikTok上にたくさんの面白いコンテンツがあることを、皆さんに知ってもらうことにフォーカスしていこう」というもの。最近はコンテンツのジャンルが多様化するとともに、面白い動画もますます増えています。そしてユーザー数はもちろん、ユーザー1人当たりの1日の平均視聴時間も52分(20年1月)から67分(21年7月)へと伸びていて、当初の目標は着実に達成できているとは思いますが、そのコンテンツをきっかけに、ここまで多様な商材が爆発的に売れるという広がりまではイメージできていませんでした。

 特に驚いたのは、デジタルの世界のヒットにとどまるのではなく、実際の店舗へも影響を与えていることですね。TikTokの小説レビュー動画がきっかけになってベストセラーが生まれただけでなく、それが電子書籍ではなくリアル書店で平積みになっているのですから。私を含めてオールドジェネレーションは電子とリアルを分けて考えがちですが、若い世代はそうではないんだなあと。それはスマートフォンの存在が大きいのだと思います。普段の生活を送る中で常に手元にあるデバイスなので、そこで得た情報を持ってそのまま本屋などのリアルな店舗に行って実物を購入することが、ごく自然な流れとなっているんでしょうね。

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