動画がバズった理由は〝ギャップ〟の面白さ

初投稿でいきなり高再生を記録した「ルナルナダンス」(右)。女将も着物姿でダンスを披露するなど(左)、従業員のほとんどが出演する
初投稿でいきなり高再生を記録した「ルナルナダンス」(右)。女将も着物姿でダンスを披露するなど(左)、従業員のほとんどが出演する

 初投稿となったダンス動画は、スーツに身を包んだ真面目そうなフロントマン3人が突然、流行のダンスチューンに合わせて軽快に踊るというもの。それがいきなりバズり、220万回再生(21年11月現在)を記録する。再生回数がどんどん伸びていくという予想もしない展開に目を疑いつつも、同時に「これはいけるかもしれない」という自信にもつながっていったそうだ。その後も、NiziUの『Make you happy』、BTSの『Dynamite』など、TikTokで話題となっているダンス動画を次々に制作。フロントマンに加え、他の従業員や女将までもが出演するようになっていった。

 バズった効果はいきなり表れた。三重県では3月7日に県独自の緊急警戒宣言が解除されるというタイミングと相まって、客足が戻ってきたのだという。「TikTokは反応が早いなと思いました。実際にアンケートを見ると、TikTokで知ってくださったお客様も多くて。お子さんが私たちの動画にハマってくれて、それを親御さんも見てくれた結果、宿泊に至ったご家族も少なくありませんでした。また、中年男性の方も結構見てくださっているようで、それは意外でしたね。少しずつですが、まずTikTokで興味を持ってもらい、そこから料理の写真などを載せているインスタグラムで当館の詳細を知っていただき、宿泊につながるという流れもできました」(迫間氏)。

 しかし、ダンス動画といえば、TikTokの中でも人気ジャンルの筆頭だ。星の数ほどある定番動画の中で、なぜ鳥羽ビューホテル花真珠のダンス動画がバズったのか。その理由について、「ギャップが受けた」と迫間氏は分析する。「最初の投稿が受けたこともあって、ダンス動画を中心に上げ続けていたんですが、夏場に入って半袖シャツで踊ったら、再生回数がいつもより伸びなくて。衣替えの時期が来て冬服のスーツに戻ると再生回数が戻ったんです。そこで気付いたのは、『スーツを着て白手袋をはめた真面目そうなフロントマンが、トレンドのダンスをしているのがおかしいんだ』ということ。視聴者の方は、そのギャップを楽しんでいたんですよね」(迫間氏)。

 その学びから、ギャップを意識して動画を制作することも増えたという。和装の女性従業員が瞬時に着替えてオートバイで颯爽(さっそう)と帰宅する動画は、ギャップに加えて「バイク女子」というワードもフックとなって再生回数が伸びた。「まずは〝バイク女子〟の威力に驚かされました。しかも、動画を見た方からコメント欄で『バイクで行きたいのですが、屋根付きの駐車場があるんですか?』といったご質問をいただいて。完備していることをお伝えすると、同じようにバイクで宿泊に行きますというお客様が続くなど、思わぬ方向に広がりを見せた動画となりました」(迫間氏)。

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