動画で紹介した商品が次々ヒットし、注目される“TikTok売れ”現象。日経トレンディが選ぶ「2021年ヒット商品ベスト30」のトップにも輝いた。本シリーズは、TikTokを活用して消費や流通の新たな形に挑む企業や個人にフォーカスした『TikTokショート動画革命』(日経BP)の一部を抜粋、再編集してお届けする。
シリーズ2回目は、近年、アート事業に力を入れる寺田倉庫だ。コロナ禍で企画展の休止などを余儀なくされるなか、TikTokの拡散力に着目し、2021年3月に同社運営の3施設合同による公式TikTokアカウントを開設した。同年7月には、TikTokとパートナーシップを結んだ。特徴的なのは、施設の特色を生かした「TikTok LIVE」の配信を積極的に行っていること。美術のプロたちによる分かりやすい解説が人気を集めている。

2020年に創業70周年を迎えた寺田倉庫。これまで美術品やワインの保管など、富裕層に向けたサービスを行ってきた同社が、さらにアート事業への取り組みを加速させている。
アートで地域活性化を目指す東京・天王洲地区で中核的な役割を果たしており、日本最大級のギャラリーコンプレックスである「TERRADA ART COMPLEX」や大型イベントに対応したレンタルスペースを複数運営。自社のカフェや宿泊施設とも連携し、多角的にアートとのつながりを提案している。
TikTok×アートという新しい取り組み
そんな寺田倉庫が、21年3月に公式TikTokアカウント「TERRADA ART PROJECT」を開設。現代アートのコレクターズミュージアム「WHAT MUSEUM」、アートギャラリーカフェ「WHAT CAFE」、伝統画材ラボ「PIGMENT TOKYO」という、3施設の情報を発信している。
そもそも寺田倉庫は、来場者の裾野を広げるべく、若年層に支持されるTikTokに可能性を大いに感じていた。そこに、もっとアートやカルチャー領域での広がりを求めていたTikTokの思いも重なったことで、同年7月にパートナーシップを締結。細部への助言やフィードバックを受けられるようになったという。寺田倉庫 スペースコンテンツグループの古後友梨氏は、「例えば、最寄り駅の天王洲アイル駅から3施設へのアクセスを、実際に歩いて紹介する早回し動画があるのですが、これはTikTokからのアドバイスを受けて作成したものです。他にも、TikTok LIVEの模様をレポート化してもらえるため、二次的な波及効果も生まれました」と話す。
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