シナリオプランニングへの応用
シナリオプランニングとは、特に外部要因について中長期的(5年から10年程度)に不確実性の高いものを2つ(場合によっては3つ)選び、それぞれが実現したときにとるべき戦略を前倒しで検討する手法のことです。外部要因は、SWOTのOとTですが、その中で中長期の予想が特に難しく、かつ自社の経営上、インパクトの大きなものに注目します。
例えば、国内の英会話スクールにとって「少子高齢化の進展」は、経営上重要な要素ですが、ほぼ既定路線なのでシナリオプランニングでは取り上げません。あるいは、「自動運転の進展」は不確実性がやや高いですが、英会話スクールにとっての影響は軽微と考えられるので、これも取り上げません。
このケースであれば、「オンライン教材の進化(音声認識技術の進化なども含む)」と「自動翻訳機の進化(これも音声認識技術の進化なども含む)」などが候補になるかもしれません。「オンライン教材の進化」は、自社が持つべき経営資源やオペレーションを大きく変えるでしょうし、「自動翻訳機の進化」は英語学習の必要性を大きく減じる可能性があるからです。この2軸を採用した場合、図4のように4つの「起こり得る未来」が描けます。この起こり得る未来が、シナリオプランニングでいうシナリオです(その意味では、通常の「シナリオ」の意味合いとは異なります)。
各シナリオになるときの予兆としてどのようなことが考えられるか、あるいはそれぞれのシナリオ下でとるべき戦略をあらかじめ考えておけば、いざそのシナリオが現実に近づいたときに慌てることがない、というのがこの手法の良さです。VUCAの時代にますます価値のある考え方と言えるでしょう。
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