マーケティングにおいて、誰を主要ターゲットとするか、想定顧客に対してどのような提供価値を訴求するかを明確にする手法「STP分析」。実例を交え、要素の洗い出し方について解説する。

 新規事業としてリリースするかを検討している。既存ヒット商品の売れ行きが落ちている。研究開発から新製品のタネはできたけれども、市場に受け入れられるか分からない……。

 そういった状況下で、闇雲に投資しても成功の確度は上がりません。自社がこれからつくるサービスや、その特色をまずは分析することが重要です。

 そんなときに役立つのが、「STP分析」です。今回はその初級編として、実例を交えながら要素の洗い出し方を解説していきます。

訴求ポイントを明確にする分析

 STP分析とは、セグメンテーション(Segmentation、市場の細分化)、ターゲティング(Targeting、狙う市場の選択)、ポジショニング(Positioning、自社の立ち位置を決定)の3つの頭文字から名付けられた分析法です。誰を主要ターゲットとし、彼らにどのような提供価値を訴求するかを決める大事なプロセスです。

 マーケティングの中でも、特に新製品開発時は「どのような製品(Product)にしよう?」「価格(Price)は?」「プロモーション(Promotion)は?」「販路(Place)は?」といった個別具体的な施策、いわゆるマーケティングミックス(4P)にすぐに飛びつく人がいますが、これは有効ではありません。

 現代では顧客ニーズも多様化し、いきなり製品から考えてもニーズに合わない可能性が大いにあるからです。もちろん、最終的にはそれらの側面を熟考する必要はありますが、その前提条件として、STPをしっかり検討することがマーケティングの成功確率を高めるでしょう。

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