プロダクトの構成要素とライフサイクルモデルとの関係
ここまで自動車とカラオケボックスの事例で見てきたように、プロダクトの構成要素は、顧客によるニーズの変化や企業間における差別化競争とともに、プロダクト3層モデルの円の中心(中核)から外側(形態・付随機能)に拡張していきました。
ここからは本連載の第4回「『PLC』は戦略策定の鍵 市場の発展段階に沿った計画を」で解説したPLC(プロダクトライフサイクル)とプロダクト3層モデルとの関係を紹介していきます。
ここでは、現代人にとって必須アイテムと言える携帯電話の事例を取り上げます。携帯電話の前身は、第2次世界大戦中に米軍が使用していたトランシーバーです。
大戦後も米国を中心に無線技術や端末の小型化が研究され、日本では85年にNTT(当時)が肩にかけて持ち運べる「ショルダーホン」を開発。発売当初は重さが3キログラムもありましたが、87年には900グラムまで軽量化されています。筆者は、当時のテレビコマーシャルのキャッチフレーズ、「電話を持って旅に出た」を今でも鮮烈に記憶しています。
携帯電話というプロダクトの導入期は、まさに「移動しながら電話ができる」という「中核となるベネフィット」が訴求されていました。その後、メーカー各社が携帯端末の開発を競い合い、小さい、軽いといった「形態」の進展に加えて、写真が撮れる、音楽が聴けるといった機能も広がっていきました。
今日では、携帯電話というよりも「ケータイ」「スマホ」と呼ばれることが一般的でしょう。「ケータイ」「スマホ」においては、以前の携帯電話に求められたような通話機能よりも、例えばアプリを中心としたSNS(交流サイト)でのコミュニケーション、写真や動画の加工、音楽再生といった付随機能が重要になります。
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