自動車の事例
自動車における「中核となるベネフィット」として、まずは移動や輸送の手段が挙げられます。一方で、皆さんは自動車が動きさえすれば、それで満足するでしょうか? 燃費が良いのか、インテリアやエクステリアはどんなデザインなのかなど、「形態」に関するニーズが出てくると思います。
20世紀の初め、米自動車会社フォード・モーターはフォード・モデルT、通称「T型フォード」を開発し、大量生産・販売していました。同社の創業者であるヘンリー・フォードは“Any customer can have a car painted any colour that he wants so long as it is black.(顧客はどんな色のT型フォードでも選ぶことができます。それが黒である限り)”と話したといわれています。
T型フォードが黒い塗装で統一されたのは、当時、黒色が他の色より塗装が早く乾いたため、生産の効率化が図れ、価格を下げることができたからだそうです。
コトラー教授は、こうしたマス・マーケティングのことを「1つの商品をすべての買い手に注ぎ込む状態」と表現しています。しかし、それで飽き足らなくなった自動車のユーザーは、カラーバリエーションや多様なデザインを求め始めました。米ゼネラル・モーターズ(GM)は、こうしたニーズに応え、「シボレー」をモデルチェンジし、T型フォードから市場を奪い取ったのです。
さらに、自動車の購入に当たっては、その支払いやローン適用の条件、また長期間にわたって使用するためアフターサービスといった付随機能も気になるでしょう。
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