今回のテーマは、プロダクト3層モデル。顧客への価値提供を、改めてプロダクトの構成要素というモデルから捉え直してみると、ビジネスの見え方が変わってきます。顧客ニーズや業界の変化に合わせて、付加価値要素や機能、そして中核となるベネフィット(利益)を見直していきましょう。

 まず、企業が顧客のニーズをどのようにして満たしていくのか? その活動は4つのP、(1)プロダクト(製品・サービス)、(2)プライス(価格)、(3)プレイス(流通)、(4)プロモーション(広告宣伝)からなるマーケティングミックスで考えることができます。今回はこの4Pの出発点ともいえるプロダクトを、具体的に捉える視点について紹介します。

プロダクトの構成要素

 マーケティングの研究者として有名なノースウエスタン大学のフィリップ・コトラー教授は「プロダクトは、プロダクトを構成する要素に分解できる」と提唱しています。今回はその中でも「中核となるベネフィット」「形態」「付随機能」の3要素にプロダクトを分解して捉える、プロダクト3層モデルを解説していきます。

 まず「中核となるベネフィット」は、顧客の本質的なニーズを満たすためにプロダクトが備えている価値や機能です。次に「形態」は、中核に付随するものであり、プロダクトのスタイルやデザイン、ブランド、パッケージなどが該当します。最後の「付随機能」は、保証やアフターサービス、メンテナンスといった付加的な要素です。これら3つの要素は次の図のような構成になっています。

出典:フィリップ・コトラー『マーケティング原理 第9版』(ダイヤモンド社)に掲載の図に基づき、著者が作成
出典:フィリップ・コトラー『マーケティング原理 第9版』(ダイヤモンド社)に掲載の図に基づき、著者が作成

 それではいくつかの事例から、プロダクト3層モデルのイメージをつかんでいきましょう。

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