バリューチェーン分析は、企業活動のどの部分でどの程度コストがかかっているのか、その結果どの程度付加価値が生み出されているのかを把握し、事業戦略の有効性や改善の方向性を探る分析手法です。

バリューチェーン分析とは

 バリューチェーン(価値連鎖)分析は、1980年代前半、米ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)のマイケル・E・ポーター教授が提唱したフレームワークです。オリジナルのバリューチェーン分析においてポーター教授は、図に示したように企業の活動を5つの主活動、4つの支援活動に切り分けました。

図1:オリジナルのバリューチェーン
図1:オリジナルのバリューチェーン
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 ポーター教授のこのオリジナルの切り分け方は、あらゆる業種に当てはめることも可能ですが、もともと製造業を多く参考にしていることもあり、業界によっては使い勝手が必ずしもよくはありません。そのため、経営企画などの実務では、このポーター教授の切り分け方をそのまま用いるのではなく、業界の特徴に合わせて主活動にフォーカスして4~6つくらいの活動に切り分けるのが一般的です。

 その上で、定性面、定量面から自社の強み・弱みや特徴を探ったり、どこにコストをかけているか、その結果どの部分で付加価値を生み出しているのかを把握したりします。

 図2に製造業と飲食チェーンの典型的なバリューチェーンを示しました。飲食チェーンの「加工」はセントラルキッチン方式をイメージしています。

図2:典型的なバリューチェーン
図2:典型的なバリューチェーン
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 バリューチェーン分析では、まずはこのように自社の主だった機能を洗い出します。

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