7Sの応用
図2は、7Sを組織変革の観点から並べてみたものです。まず環境変化があり、それが戦略の変更を要請します。Systems(特に人事評価など)とStructureを変革のツールとして用い、かつ強力なリーダーシップによるコミュニケーションなどを総動員し、変わりにくいソフトの4つのSを根気強く変えていくことが求められます。
それを実現した例として有名なのが、1993年以降の米IBMの変革です。それまでのIBMは「ハード(機械)売り」の意識から抜け出せず、また典型的な大企業病に陥っていたことから、顧客から大きな不満を持たれていました。
そこに外部から招聘(しょうへい)されたのが、米アメリカン・エキスプレスや米RJRナビスコなどで最高経営責任者(CEO)を務めたルイス・ガースナー新CEOです。ガースナーは戦略をハード売りからソリューション提供に変えるとともに、組織図も製品別の組織から顧客別の組織に変えました。評価制度もハードの販売額などではなく、顧客満足度などに重点を移しました。同時に、彼自らがリーダーシップを発揮し、役員陣を激励することで、IBMをソリューションカンパニーに導くとともに、ネットワークコンピューティングなどにも道筋をつけたのです。IBMほどの大きな会社であっても、その気になれば変革は可能なのです。
7Sが生かせる場面
7S分析は経営者やマネジャーが自社や自部署の組織的特徴を見るのに便利なツールです。その典型的な使用シーンは以下のようなケースです。
- 経営戦略に沿った望ましい組織になっているかを確認する
- 組織の強みや弱点、不整合のある箇所を把握し、より生産的な組織へと変えていく
- M&A先の組織が自社にフィットするかを見極める
- 将来の環境変化が組織にどのような影響を与えそうかを予測する
- 変革に向けてどのような施策が必要かを検討する
組織の分析ツールとして、非常に著名かつ効果的なので、ぜひ使いこなせるようになりましょう。
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