3C分析の事例:花王のヘルシア緑茶
花王がヘルシア緑茶を新商品として販売を開始した頃を事例として見てみましょう。
(1)市場・顧客(Customer)
・清涼飲料市場は微減だが、緑茶市場は成長市場。
・男性のBMI(体格指数)25以上の肥満層が増えている(30代以上の男性の3分の1)。
(2)競合(Competitor)
・緑茶市場の競争状況は厳しい。100社程度が参入済みで、上位10社が市場の90%以上のシェアを占めている。
・既存飲料メーカーは味やイメージ広告で工夫しているものの、機能性で明確な差別化できている商品はない。
(3)自社(Company)
・これまでの研究開発において、脂肪が蓄積されにくい食用油など特定保健用食品(トクホ)の実績もある。
・飲み続けると体脂肪が減る緑茶の開発に成功。
簡潔にまとめると以上が3Cの要素です。
3Cの要素を整理した上で、それをどう解釈するのかが大事だとお伝えしましたが、新商品を提案する担当者になったつもりで解釈を考えてみましょう。提案する際に、受け手側が一番知りたく、伝えなければならないことは何でしょうか?
それは「(1)魅力的な市場」が存在していること、競争状況は厳しいが「(2)機能性で明確に差別化できている商品がない」こと、そして自社はその機能性で十分に「(3)勝てる開発力がある」こと、の3点です。3Cによる外部環境の分析から魅力的な市場と判断でき、内部環境の分析から自社の競争優位性が発揮できることが説明できれば、新商品としてチャレンジすべきであるということを、分かりやすく伝えることができるでしょう。
3Cの応用事例:BtoBビジネスのケース
筆者が関わっていたスタートアップ企業では、飲食店向けの新商品(厨房機器)を製造・販売していました。創業当初は飲食店への販売が振るわない時期が続いていました。そこで、プロモーションの一環として自社で飲食店を立ち上げ、直接消費者との接点を持つことにしました。そうすることで飲食店や、飲食店の顧客(消費者)の状況がクリアになり、有用なデータを蓄積し、さらなる顧客ニーズをくみ取ることにつながりました。結果として、飲食店への新商品の販売が活発化することになりました。
このBtoB(法人向け)ビジネスの例では、自社にとっての直接の顧客は「飲食店」となりますが、目の前の顧客である「飲食店」のことだけを考えるのではなく、その先の顧客(消費者)の目的やニーズまで考えることも重要です。つまり、「顧客の顧客」である「消費者」の情報やニーズまで先回りし、そのニーズを自社の直接の顧客である飲食店が満たすための手段として、自社商品を提案することが鍵だったのです。
個人までを含めたBtoBtoCのような業態においては、3Cだけではなく5Cの視点も重要になると言えます。このように、3C分析の基本を習得した後、5Cのような応用を考えてみることもフレームワークを実務で活用する上でのコツです。

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