ヒト・モノ・カネを体系的に学ぶことができるビジネススクール。多くの社会人にとってビジネスを学べる場として重宝されています。そんなビジネススクールの中でも、ビジネスの創造や社会の変革に挑戦する高い志を持ったリーダーを世に多く輩出するグロービス経営大学院(MBA)。
その現役・実務家教員たちが、ビジネスパーソンに必須のビジネスフレームワークやマインドセットのコンテンツを月2回の予定でお届けします。
第3回は、ビジネスパーソンなら聞いたことのあるフレームワークの代表格である「3C分析」を解説します。3C分析で押さえる要素は戦略検討には欠かせない重要なものばかりであるため、「とりあえず3Cで整理してみよう」となりがちなフレームワークですが、こういった汎用性の高いフレームワークほど、使い方次第で実務での差が表れます。まずは基本を理解した上で、戦略目的に合った柔軟な使い方をしていきましょう。
3C分析とは
3C分析とは、外部環境(市場と競合)の分析からKSF(Key Success Factor:事業を成功させるための必要条件)を見つけ出し、自社の戦略に生かす分析をするためのフレームワークです。3つのCは、「市場・顧客(Customer)」「競合(Competitor)」「自社(Company)」の3つの要素の頭文字を取ったものです。要素ごとに考えるべきことを見ていきましょう。

3CはCustomer、Competitor、Companyの3つのCを指す
要素ごとに考えるべきことは
(1)顧客・市場(Customer)
・市場規模、成長性、収益性、コスト構造
・顧客セグメント(の軸、切り口)
・購買動機、顧客ニーズ
・購買決定プロセス
・購買意思決定者(DMU)
・購買決定要因(KBF)
(2)競合(Competitor)
・寡占度(競合プレーヤーの数・質)
・参入障壁
・競合の戦略、経営資源
・構造上の強みや弱み
・業績(パフォーマンス)
(3)自社(Company)
・業界内のポジション
・戦略とその構造上の強み・弱み
・経営資源(技術力、販売力、財務力、組織文化など)
・業績(パフォーマンス)
前述のように、代表的なフレームワークであるため、とりあえず3Cを使って情報の整理を試みる人は多いでしょう。しかし、情報をフレームワークに当てはめて整理が完了したところで、多くの人が直面するのが「So what ?(だから何?)」
という問いです。フレームワークで整理してみること自体は、比較的容易な作業ですが、大事なことはその先にあります。3C分析にかかわらず、フレームワークを使う際は必ず、情報を整理した後に「そこから言えることは何か?」と解釈を行うことが重要です。
基本ステップは「市場・顧客」から
3C分析を行う際の基本的な順序は、まずは市場・顧客(Customer)から行うのがいいでしょう。市場はどのような状況で、顧客は何を不満に感じていて、何をきっかけに商品の購入を決めるのか。様々なニーズが考えられる中で、購買決定要因(KBF:Key Buying Factor)は何かを明らかにします。
次に、競合(Competitor)に目を向けましょう。顧客を取り合う相手はどのようなプレーヤーなのか。競合が満たせていない顧客ニーズを明らかにします。また、顧客ニーズを満たすことばかりを考えてしまい、「競合が既にその顧客ニーズを十分に満たしてしまっている」ということを見逃しているケースもありがちです。競合が既に満たしている顧客ニーズを今から満たしに行っても、時既に遅し、というケースも往々にしてあるため、顧客と競合の分析から、顧客ニーズの中でも、競合がまだ満たせていないニーズを見いだせないかを考えることも重要です。こういったことを考えることが主要成功要因(KSF:Key Success Factor)を導き出すためのヒントになります。
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