気象条件の変化は経済に密接に関係する。だが、マーケティングで定説とされてきた気温上昇による経済的なメリットも、ここ数年享受できなくなっている。今回は、そんな夏の経済効果のプラス、マイナス事情について解説する。
南北に細長い日本列島は、北海道や南端の琉球諸島、小笠原諸島などの一部地域を除くと、そのほとんどは温帯に属している。そう学んだのは小学生の頃だった。だが、昨今の暑さや線状降水帯によってもたらされる豪雨など、想像すらできなかった。

「ほぼ毎日猛暑日、明日もきっとそう。東海・関東甲信は平年より22日も早い梅雨明けだったし、今年の夏はとても長く感じるわ」
「最高気温が35度以上の猛暑日がこう毎日続くと、30度以上の真夏日でさえ体に優しく感じるよ」
「猛暑の上が酷暑で、その上が激暑。さらにその上の炎暑なんて表現もあるわね。暑さの種類も最近はバラエティーに富んでいるわ」
「勘弁してくれよ、聞いているだけで暑くなる。今以上に暑さの種類が増えないことを祈るよ」
正式な予報用語として、気象庁が「猛暑日」を定めたのが2007年4月。どうやら15年前のその頃から、人の体温とほぼ変わらない気温の高い日が増え始めたようだ。
東京都心ではついにこの夏、歴代最多の猛暑日を更新。同じく気象庁が定めた予報用語「熱帯夜」は、夜間の最低気温が25度以上のことを指すが、ここ最近の夜の気温は下がらないため珍しくない表現となってしまった。
ついに今年、日本気象協会は、最高気温40度以上の日を「酷暑日」、夜間の最低気温が30度以上の夜を「超熱帯夜」と呼ぶことに決めた。熱中症の予防啓発や注意喚起には分かりやすく有効だが、こうなると、この国のほとんどが温帯に属しているとはもはや信じ難い。
経済効果には、プラスとマイナスの側面がある。その両面を勘案することで、夏の暑さがもたらす経済効果を把握できる。効果という単語が持つイメージ通り、これまではプラスの側面が強調されることが多かったものの、近年はマイナス面にも注目が集まっている。
経済の専門家によると、これまでは「夏は暑ければ暑いほど、個人消費が伸びて経済効果にはプラス」というのが定説とされていた。ひと夏の平均気温が1度上がると、国内の個人消費を3000億円から5000億円引き上げるといった内容の指摘も多かった。
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