値上げラッシュを肌で感じる

 満開の桜の記憶が薄れ、桜が青々とした葉をつけるころには、初夏を思わせる陽気の日も増えてくる。なんだかんだと理由をつけて、ショッピングも外に出掛ける楽しみの1つとなりつつある。郊外のモールは、ドライブを兼ねた行き先にちょうどよい。ところが、売り場の雰囲気に妙な違和感を覚える男女がいた。

 「2人の好きな『パスタ』を……あら? 1割高くなっているわ」
 「小麦の価格が上がっているからね。小麦は輸入モノが多いから『円安』でさらに割高だ」

 「『トマトソース』も前の値段と全然違う。『トマトパスタ』は当分お預けね……。」
 「あ、『ウイスキー』も値上げだ。でも、その幅に差があるね。高いのだと前と3割も違うよ。家での数少ない楽しみだし、銘柄を変えるのもなぁ」

 「ねぇ『ポテトチップス』、価格は据え置きだけど内容量は減っていますだって。わざわざ減ったことを表示してあるわ」
 「こっそり値上げするのは『ステルス値上げ』と呼ばれているんだ。SNSの炎上リスクにつながるからね。今の時代、企業も値上げには細心の注意を払ってるんだよ」

 互いに多忙で、ウイークデーを避けた彼女と2人の買い物は、休日のまとめ買いになることが多い。間隔が空けば前回との価格差におのずと敏感になりがちだが、ビジネスでも私生活でもコスト意識の高い彼女にとって、特に食品関連の「値上げラッシュ」は気になるようだ。集計されたレシートを見て、一層の節約を志すのだろう。

同じ生活をしているはずなのに、家計簿アプリやクレジットカード明細で値上げを肌で感じるということもあるだろう。値上げは一気にくるが、値下げはすぐには起きないから困ったものだ(写真=PIXTA)
同じ生活をしているはずなのに、家計簿アプリやクレジットカード明細で値上げを肌で感じるということもあるだろう。値上げは一気にくるが、値下げはすぐには起きないから困ったものだ(写真=PIXTA)

次ページ そもそもデフレスパイラルとは