リスクとの正しい付き合い方

 日本の隣の朝鮮半島リスクもその一例だろう。北朝鮮は今年に入り、立て続けに短距離ミサイルを発射。核実験や大陸間弾道ミサイル発射の再開も示唆したが、マーケットの動きは無反応といっていい。

 さらに時間が経過すると、いまだリスクは終息していないにもかかわらず、リスクをリスクと感じない最終段階に入っていく。マーケットがリスクを相手にしない、極論すれば無視するに近い状況といえる。

 注目すべきは、この段階で再び動き始める、株式の売却によって形を変えた現金だ。マーケットに存在してこそリターンを生み出すことができる現金は、自らの場所を求めて動き始める。しかも、いち早くマーケットに戻らないと、得られるはずのリターンを獲得し損なってしまう。

 地政学リスクの表面化は、初期段階の短期間において、投資家に不安感や危機感を抱かせるが、長期間にわたって影響を与え続けることが少ない理由はここにある。地政学リスクによって動かされる投資資金は抜けるのも速いが、戻るのも速い。開戦後、どのタイミングで収束するかによって、投資家の戦略も大きく変化していくことだろう。

 ウクライナ情勢に気を取られていたせいもあって、あっという間に北京オリンピックも閉幕した。北京一都市での「夏」と「冬」の五輪開催は、東京一都市では実施不可能であることを思えば、確かに注目に値する。

「前回の北京は08年、私たちが出会う前だね。ねぇねぇ、誰と見ていたの?」
「あの頃から付き合っていたら、今、2人でこうして一緒にいられたか分からないぞ」
「じゃあ、これで良かったということで」(微笑)

 付き合って別れて、また付き合い始める、いわゆる「元サヤ」の関係。その後、うまくいくか、いかないかは恋愛討議のテーマになりがちだが、ロシアとウクライナのようにここまでこじれると、さすがに1度や2度の「元サヤ」では済まないだろう。今後、連鎖的な戦争が発生しないか注視が必要だ。

 08年の北京夏季オリンピックから14年。月日は国家の関係を大きく変えた。人の感情が動き動かされて「恋愛」へと変化するように、マーケットに戻った現金は「投資資金」に形を変えて、また動き始める。願わくは世界中のマーケットを巡りながら、世の「愛と経済」に潤いを与えてほしいものだ。

この記事はシリーズ「宗正彰の「愛と経済のキーワード」」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。