彼との出会いは、世界各地でその年に収穫されたコーヒー豆から最高品質のものを選ぶ「カップ・オブ・エクセレンス(COE)」がきっかけだった。その年の優勝者が、農園はこんな感じだと近隣の農園を案内してくれた。案内された1つがティトさんの農園だったと記憶している。地域のコミュニティーではどういった豆を栽培しているんだろう、といった気軽な訪問だったが、気づけば15年の長い付き合いになっている。

珈琲農園にお邪魔すると一家総出で出迎えてくれた。親子孫の3代で経営している。©MARUYAMA COFFEE
珈琲農園にお邪魔すると一家総出で出迎えてくれた。親子孫の3代で経営している。©MARUYAMA COFFEE

 ティトさんの珈琲農園は一言でいえば、「家の畑」。ティトさん本人と息子、孫が手伝って一つのコーヒー豆を完成させる。ティトさん一家は家族総出で手塩にかけて豆を作る。非常にいい豆を作り、煎り方によってはダークチョコレートあるいはアーモンドのような風味があり、ほんのりとした甘みも感じられる。素晴らしいコーヒーを作るのに、農園を訪れた当初は非常に貧しかった。

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