国境を越えて展開するコーヒーショップが次々に登場し、ここ30年でコーヒーの産業構造がガラリと変わった。かつては一部の愛好家が中心だったスペシャルティーコーヒーをたしなむ層が世界で拡大し、生産から流通、消費に至るまで地殻変動が続いている。身近な存在ながら、その歴史を知る人は少ないコーヒー。丸山珈琲を自ら立ち上げ、豆の調達や品評会で世界を回り続けるコーヒーの生き証人たる丸山健太郎氏が、歴史の転換点などコーヒーの現代史を語る。
シリーズ
丸山健太郎の「現代珈琲史」

14回
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スペシャルティコーヒー界の眠れる巨人、ペルーがベールを脱ぐ日
南米大陸の太平洋岸に位置するペルー。南米におけるコーヒー豆の生産量では、ブラジル、コロンビアに次ぐ3番手につける。しかし、そんなペルーもスペシャルティコーヒーの領域では流れに乗れずにいた。スペシャルティコーヒー界の「眠れ…
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内戦、噴火、サビ病…エルサルバドルコーヒーがその先に見た景色
エルサルバドルにおけるコーヒー産業は長らく国家事業としての側面が強く、国が主導してコーヒー栽培の強化に努めてきた経緯がある。1970年代には世界有数のコーヒー生産国にまで上り詰め、黄金時代を謳歌するかにみえたが、一転、エ…
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コーヒー原産国・エチオピアの新時代と強まる“自我”の行方
エチオピアはいわばコーヒーにとっての“エデンの園”。コーヒーの遺伝子の宝庫でありながらいまだ解明されていない品種もまだまだ多く、そのポテンシャルはまさに未知数。生育環境の変化に伴い優良産地の勢力図も少しずつ書き換えられ、…
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伝統に安住したドミニカコーヒーが陥った衰退とある農園の挑戦
ドミニカコーヒーは「第2のブルーマウンテン」と呼ばれ、プロの間ではかなり重用されていた。ドミニカコーヒーは長く一定の需要があり、またブルーマウンテンと同じくかなりの高値で取引される豆でもあった。しかしスペシャルティコーヒ…
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二足のわらじで挑む、グアテマラコーヒーに迫る内外の試練
コーヒー栽培の歴史が長く、スペシャルティコーヒー以前から高品質なコーヒーを生産しているグアテマラ。売り手市場だけに、買い付けを約束していた豆を先に他社に売られてしまうといったトラブルも数しれず。一筋縄にはいかないお国柄で…
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偉大なる父から託されたコロンビアコーヒーの革新と未来
「コロンビアっていいコーヒーだな」。2005年のカップ・オブ・エクセレンスでリカウルテ・エルナンデスさんの豆を初めて味わった日を思い出す。コロンビアではおいしいコーヒーがたくさん作られている。素晴らしいコロンビアコーヒー…
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マイクロミル革命が導くコスタリカコーヒーの生存戦略
スペイン語で「富める海岸」を意味するコスタリカ。南北アメリカ大陸をつなぐ地峡地帯にあり、恵まれた自然環境を生かしたエコツーリズムを主要産業とする環境保護先進国としても名高い。今回は、コーヒーの小規模生産処理施設である「ロ…
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自由か秩序か、強国ケニアのコーヒー産業の舞台裏
ケニアで高品質コーヒーをつくるのは基本的に小規模生産者だ。そしてファクトリーと呼ばれる水洗処理場でコーヒーチェリーを処理するため、ケニアコーヒーの多くは農園名ではなく、このファクトリー名で流通することになる。
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世界最大の生産国・ブラジルが直面したコーヒーの新潮流
ブラジル・サマンバイア農園のコーヒーの味わいは、まさに「本当においしいブラジルコーヒーのど真ん中」。ミルクチョコレートやビターチョコレート、キャラメルのようなしっかりとコクを感じる甘さがありつつ、万人に好まれる飲みやすさ…
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インドコーヒー発祥の地に重ね見る世界の多様性
多くの日本人にとって、インドといえばアッサムやダージリンに代表される茶の産地のイメージが強く、コーヒー豆の産地というイメージはないかもしれない。だが実際は世界でトップ10の生産量を誇るコーヒー大国だ。インド国内におけるス…
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死の道(デスロード)の先に 薫る秘宝 ボリビアコーヒー
落ちたら最後、死しかまっていない断崖絶壁を通った先にある珈琲農園。だが、リスクに見合うだけの質の高い珈琲豆がそこには待っていた。ボリビアが抱えるコカ問題と合わせて解説する。危険だけれども美味しい一杯のボリビアコーヒーをご…
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地場まで行かなければ気がつけなかった農園のリアル
丸山自身が見てきた個々の農園の生き様、そして緩やかにだが大きく変化してきた現代珈琲史について、1つの国・地域の1つの農園を通して、深堀りしていく。最初に取り上げる国は、中米「ホンジュラス」だ。
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相場下落で地獄を見た珈琲農園を救った「正しい価値」
現代コーヒーの一つの転換点となった、長期的な豆相場の下落。それを救ったのは、よりいい豆を作りたい農家と欲しいコーヒー店とのつながりからだった。
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コーヒーに「市民権」をもたらした2つの革命
一杯のコーヒーにも歴史がある。四半世紀前は、珈琲が趣味といえば苦笑いをされていたが、現代に差し掛かり大きく変化。丸山珈琲の社長丸山自らがコーヒーの歴史をひもといていく。
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話題の経営者や気鋭の起業家はいかにして自らの経営を確立するに至ったのか。そこにたどり着くまでの道のりは決して順風…
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ロシアを足掛かりに、欧州経済・金融市場の調査を担当して、既に十数年の月日がたちました。英国の欧州連合(EU)離脱…
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