コロナで母国に帰れない人から広がった

郭 鳳萍(かくほうへい)氏。日本の大学を卒業後、某飲食店での勤務を経て、22年3月、「撒椒小酒館(サンショウコサケカン)」大久保店店長に就任。忙しい中、ファミリー連れの子供たちの相手もするなど、ホスピタリティーあふれる接客姿勢が評判だ。
郭 鳳萍(かくほうへい)氏。日本の大学を卒業後、某飲食店での勤務を経て、22年3月、「撒椒小酒館(サンショウコサケカン)」大久保店店長に就任。忙しい中、ファミリー連れの子供たちの相手もするなど、ホスピタリティーあふれる接客姿勢が評判だ。

まずは最大の疑問を。池袋店、上野店に続いて、高田馬場店や新宿店という選択もあったかと思う。なぜ韓国色が強い大久保店だったのか。

郭店長:まず、この店に来るとき、どこの駅を利用して降りたか。

JR新大久保駅下車だ。

郭店長:JR新大久保駅を出て右に曲がると、韓国料理店や韓国化粧品店など韓流色が強い街並みだが、実は、駅を出て左に曲がると昔ながらの中華系の飲食店や衣類系の店舗が点在する。これらのお店は大久保通り沿いに数十メートル続く。

なるほど。「新大久保や大久保=韓国圏」という思い込みがあった。

郭店長:大久保は中華圏で中国人客はたくさんいるが、昔ながらの一般的な中華料理店しかないので、新しいタイプの「ガチ中華」の店舗を出したかった。

天井や壁面などあらゆる場所にド派手なネオンサインなどを配置。SNS(交流サイト)映えするのもお店の魅力だ
天井や壁面などあらゆる場所にド派手なネオンサインなどを配置。SNS(交流サイト)映えするのもお店の魅力だ

続けて質問を。改めて、なぜ今、ガチ中華が人気なのか。最先端の現場で働く郭店長から意見を聞きたい。

郭店長:(新型コロナウイルス禍で)中国に帰れなくなった中国人が、自分たちの食べていた本場の中華を食べたい。でも日本の中華だと味付けが甘すぎる。甘口が多くてスパイシーさが足りない。求める本場の味を出す店がないなら自分たちで作ろう、と考えたことが、ガチ中華の始まりだと聞いている。

もともと日本に住んでいた中国人ではなく、来日していた人たちがガチ中華を作ったというわけか。今後の展開や展望を聞きたい。

郭店長:4店舗目を渋谷にオープンさせることが決まった。今後も店を増やしていく予定だ。大久保店はランチ営業(午前11時〜午後3時)も充実している。「白身魚の高菜煮込み」や「牛肉の辛煮込み」などのメイン料理に、前菜・味付け玉子・漬物・ライス・スープ・あんにん豆腐の食べ放題が付いて880円とかなりリーズナブルなので、お昼もぜひ。

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