心配されていた国内でのオミクロン株の感染者がついに出る一方、12月に入っても東京都の感染者数は30人を下回る日が1カ月近く続いている。なんとかこのままの低水準で、2021年を乗り越えたいのは誰しも願うところだ。これまで中型〜大型店舗にスポットを当てていたが、果たして坪数の小さなお店はどのような状況だったのだろう。

 今回は13.69坪という小さな店舗ながら、新型コロナウイルス禍前には月商500万円に達していた「bistroあわ」だ。店舗は東京メトロ麻布十番駅から徒歩2分という好立地にある。

 坪売上はなんと36万円。これは飲食店が一坪あたりいくら売り上げたかという経営指標で、業界では15万円前後が平均といわれ、30万円を超えると繁盛店とされる。同店は「わらやき屋」や「九州熱中屋」「chano-ma」「BAGUS」など全国で400を超える店舗を展開するDDホールディングス傘下の店で、全国でもグループ6番目の小型店舗である。

 立ち飲みスタイルと“こぼれスパークリングが1杯500円”というリーズナブルさが受け、麻布十番の住民や周辺で働くお酒好きの人たちが夜な夜な集まった。見ず知らずのお客でもすぐに仲良くなれるようなフリーダムな雰囲気があり、外国人客も多く、(いい意味で)麻布十番の“飲んべえさん”の社交場として確固たる地位を獲得していた。

コロナ禍前の「bistroあわ」。ピーク時には店内はすし詰め状態でお客が外にまであふれ出ていた (写真提供/bistroあわ)
コロナ禍前の「bistroあわ」。ピーク時には店内はすし詰め状態でお客が外にまであふれ出ていた (写真提供/bistroあわ)

 料理はささみわさび乗せや砂肝ペッパーといった串焼きをはじめ、生ハム、フレンチフライ、パスタ、アヒージョなどお酒のお供になる料理も豊富。「安くて美味い」と評判になり、ボトル飲みのお客も多く、まさに店名通り、泡(スパークリングワイン、シャンパン)がたくさん飲まれるお店であった。

店舗前に入荷され、無造作に積まれたスパークリングワインの箱。週末2日で消費される量だそうだ (写真提供/bistroあわ)
店舗前に入荷され、無造作に積まれたスパークリングワインの箱。週末2日で消費される量だそうだ (写真提供/bistroあわ)

 人が人を呼び、混雑によって盛り上がる。前身の運営会社である商業藝術が、料理・音楽・空間・接客で人が集まるクロッシングポイントになることを狙ってつくった新しいスタイルの店舗だ。しかしコロナ禍によって、こうした業態は大打撃を受け、多くのお店は消滅してしまった。このスタイルでは生き残れない。

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