連載「負けない外食」がおかげさまで今回で20回目を迎えた。1日の新型コロナウイルス新規感染者数が全国で過去最多の15万2495人(厚生労働省7月20日時点の発表)になるなど、今なお収束しないコロナ禍を乗り越えて、前向きに頑張っている飲食店を引き続き取り上げていく。飲食店に関わるすべての方たちに、勇気や元気を与え、アフターコロナで勝つためのヒントに少しでもなれば幸いだ。また読者諸氏には、興味を持ったお店にはどんどん足を運んでいただき、食事およびデリバリーやテークアウトをして“応援”していただければこの上なく幸せである。

3年ぶりに再開した鎌倉・由比ガ浜ビーチ
3年ぶりに再開した鎌倉・由比ガ浜ビーチ

 記念すべき20回目は、サマースペシャルとして普段あまり知られていない海の家にスポットを当てる。

 かつて海の家の食事といえば、簡単に調理されたカレーやラーメンなどで、おいしいイメージとはかけ離れていた。しかし最近は、本格的な味を導入している店も出てきている。

 2020年、21年はコロナ禍で海水浴を中止、22年夏、実に3年ぶりに海水浴を再開した神奈川県の鎌倉・由比ガ浜を取り上げることにしよう。7月1日の海開きの日に鎌倉・由比ガ浜にオープンした海の家は13軒。毎年常設している「Quick Silver(クイックシルバー)」や南国風わらぶき屋根が目を引く「TO the sea(トゥザシー)」など多彩な海の家がそろった。今年の特徴としては先行きが不透明なために企業や商品の大きな協賛は付かなかった代わりに、都内の人気クラブやスタンドバーがプロデュース・サポートした店も目立つ。滑川側にある由比ガ浜のメイン入り口を入った目の前に立つ「CAMELOT BEACH HOUSE(キャメロットビーチハウス)」は、渋谷の人気クラブ「CLUB CAMELOT」の運営だ。また「Seaside LOUNGE(シーサイドラウンジ)」は、渋谷で時間無制限飲み放題でブレイク中のスタンドバー「Voyager(ボイジャー)Stand Shibuya」がサポートしている。さらに今回、由比ガ浜で一、二を競う大きなスペースを確保した「Beach ESPRIT BAR(ビーチエスプリバー)」は、コロナ禍で惜しまれつつクローズした六本木のクラブ「ESPRIT(エスプリ) TOKYO」のネームを冠している。

滑川側にある由比ガ浜のメイン入り口を入った目の前に立つ「CAMELOT BEACH HOUSE」とその隣にある「TO the sea」
滑川側にある由比ガ浜のメイン入り口を入った目の前に立つ「CAMELOT BEACH HOUSE」とその隣にある「TO the sea」

 そんな鎌倉・由比ガ浜の海の家でユニークかつおいしい食事を提供していると評判の3店舗をピックアップした。「avex beach paradise(エイベックスビーチパラダイス)」、「鎌倉茶屋」、そして「タイ村」だ。

鎌倉・由比ガ浜「avex beach paradise」

海外リゾート気分が味わえる最先端の海の家

 まずはデッキやパラソル、テーブル、椅子などに至るまですべてを白で統一し、ブルーの柱や看板がアクセントになっているリゾート風海の家「avex beach paradise」だ。文字通り、音楽エンターテインメント会社のエイベックスがえりすぐったコンテンツを詰め込んだ最先端の海の家と言える。

海外のリゾート地にありそうなスタイリッシュな造りの「avex beach paradise」
海外のリゾート地にありそうなスタイリッシュな造りの「avex beach paradise」

 店内はアイランド式バーカウンターを中心に一般エリア、VIPエリア、ロイヤルVIPルーム(予約で使用できる個室)の3つの空間に分かれている。入って右側が一般エリアで、チャージ料なしで飲食を楽しめる。シャワー&ロッカー(鎌倉・由比ガ浜の共通価格の1800円、シャワーのみは1000円)、パラソルレンタル(1500円)、ビーチベッドレンタル(1500円)と海の家的機能を完備する。由比ガ浜の海の家で唯一、水洗トイレを併設しており、女性客にはうれしい限り。

リゾートムードがあふれる一般エリア。青と赤の扉が、海の家では希少な水洗トイレ
リゾートムードがあふれる一般エリア。青と赤の扉が、海の家では希少な水洗トイレ

冷麺はシャリシャリ食感のスープがクセになる

 料理は、ハワイでも大人気、六本木・銀座など国内に4店舗ある「焼肉・冷麺ユッチャン。」が監修。プルコギ(2500円)や焼肉セット(牛タン、牛カルビ、国産牛サーロイン、豚バラ肉、鶏モモ肉、アンガスビーフ、ナムル、キムチ、冷麺のセットで8000円)などがある。

 特筆は、ハワイで米国人はじめ世界中に多くのファンを持つユッチャン冷麺(ハーフサイズ、1200円)。そば粉に葛(くず)粉を練り込んだコシがある黒い麺とシャリシャリ食感のシャーベット状の秘伝スープは、冷麺の概念を覆すに違いない。クセになるおいしさである。ハーフサイズなので、暑さで食欲がなくてもペロリとたいらげられるはず。酢やカラシで味変するのもよし。

ハワイ通にも有名なユッチャン冷麺。半分凍ったスープは海の家で食べるとより格別だ
ハワイ通にも有名なユッチャン冷麺。半分凍ったスープは海の家で食べるとより格別だ
ヘルシーな冷麺は女性にも人気。ハーフサイズというのも頼みやすい狙いどころ
ヘルシーな冷麺は女性にも人気。ハーフサイズというのも頼みやすい狙いどころ

 入り口を入って左側にあるアイランドバー奥がVIPエリアだ。予約できるのはソファシート。席で注文ができ、注文した料理やドリンクは席まで届けてくれる。シャワールームには、ドイツの老舗ブランド、ハンスグローエのオーバーヘッドシャワーとハンドシャワーが設置されている。VIPエリアの利用は1人2時間4000円。由比ガ浜の海の家の利用料1800円にプラス2200円で至れり尽くせりのサービスを受けられる。優雅に海の家の時間を過ごしたい人にはおすすめかもしれない。

VIPエリアはシートが豪華になる。暑さ対策で天井付近には扇風機も設置
VIPエリアはシートが豪華になる。暑さ対策で天井付近には扇風機も設置

 VIPエリア限定で、10人以上の事前予約制でバーベキューを楽しめる。1人6000円、飲み放題を1人3000円で追加できる。

シーサイドでのバーベキューは楽しさが増す
シーサイドでのバーベキューは楽しさが増す

海の家がクラブ仕様に ロイヤルVIPルーム

 VIPエリアのさらに奥にはロイヤルVIPルームを併設。完全個室で冷房を完備し、カラオケも楽しめるスペシャルな空間だ。システムがまるで六本木のクラブのようだと思ったが、それもそのはず。VIPエリアとロイヤルVIPルームは、六本木のナイトクラブ「SEL OCTAGON TOKYO(セルオクタゴン東京)」がプロデュースしている。VIPエリアの使用料(1人2時間4000円)に加え、ルーム使用料(貸し切り1時間1万円)が加算される。

海の家の域を超えているロイヤルVIPルーム。海の家の中で“冷房でカラオケ”は大きな驚きだ
海の家の域を超えているロイヤルVIPルーム。海の家の中で“冷房でカラオケ”は大きな驚きだ

 となると庶民の筆者が気になるのはシャンパン料金。一番リーズナブルなモノは、スパークリングワインのカフェ・ド・パリ ピーチが1万円。メインターゲットの価格帯がコレ ブリュット2万円で、コレのロゼが3万円、高級バージョンのコレ エスプリ・クチュール15万円まである。

 ちなみに置いてあるシャンパンの最高価格は、ボトルデザインのゴージャスさとかわいさで人気のアルマン・ド・ブリニャック ドゥミ セックで、50万円なり。ここまできたらもはや港区の超高級店価格だ。しかし同海の家は、2013年から2018年までの6年間で累計来客数12万人以上を動員し、由比ガ浜で最高動員記録を持つ。富裕層のお客も多いのでハイプライスなシャンパンの需要もあるということであろう。

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