二郎インスパイア系 寄せたのでなく、結果寄った
「ベジ郎」=“ベジタブルな二郎”の店名や黄色い看板、オーダーカスタマイズなど、ちまたでは「ラーメン二郎インスパイア系」の野菜炒め専門店といわれている。そのことについて。
古町氏:二郎インスパイア系にわざわざ寄せたのでなく、ビジネスモデルとして野菜炒めの大衆性を追求した結果でそうなった。店名もキャッチーなモノを考えていたら二郎に寄ってしまった。ちなみに弊社代表の竹川も自分もラーメン二郎は好きだ。遊び心があると二郎ファンのお客様にも喜んでいただいている。
毎回、「ベジ郎」で少しずつ内容を変えて注文するのが楽しいのでジロリアン(ラーメン二郎の熱狂的なファンの総称)の方の気持ちも少し分かったような気がした。「ベジ郎」の野菜炒めは、豚肉ではなく鶏の唐揚げを使用している。この狙いは?
古町氏:野菜炒めは、独身男性でも気軽に自宅で作れる料理。「ベジ郎」でしか食べられない野菜炒めということで、豚肉の代わりにひと手間かかって人気が高い鶏の唐揚げを使用した。野菜と唐揚げとの相性も良く、背脂をのせた唐揚げはおいしいと評判だ。
コロナ禍でのオープンとなった。「ベジ郎」としての感染予防対策はどう行ったか。
古町氏:来場客には必ずアルコール消毒をして入店していただいている。オープン当初アクリル板も用意したが、お一人様のお客様が多く、自然と黙食になったため現在はアクリル板は使っていない。スタッフはマスク着用で働き、入店時には検温して37.5度以上のスタッフは働かさずに帰らせる対応をしている。
渋谷・池袋と成功した。今後はどのような展望があるのか。
古町氏:「ベジ郎」を野菜を卸すツールとして広げていきたい。現在、1日200kgの野菜を使っているが、「ベジ郎」の店舗数が10店舗になれば1日2tの野菜を消費できる。
フランチャイズの問い合わせもたくさん頂戴しているので、10店舗は現実的な数字だ。また現在はキャベツ、モヤシ、玉ネギ、ニンジンで野菜炒めを作っているが、季節によってナスなどが余るときもある。そのときは廃棄しないで野菜炒めにナスも入れる。どんな野菜でも入れられるのが野菜炒めの強みでもある。「ベジ郎」の店舗が増えれば増えるほど、野菜を無駄にしないでおいしく食べてもらえるはずだ。

取材を終えて
今まで「負けない外食」連載では、コロナ禍でもさまざまな工夫やチャレンジをして前向きに頑張る飲食店の皆さんのお話をお聞きし、それをお伝えしてきた。
しかし今回の「ベジ郎」は、コロナ禍の中だからこそ生まれた新しい流通改革による新しい形の繁盛店といえるだろう。野菜の卸だからこそ発想できた野菜炒め専門店。自分たちの挑戦が他の飲食業界のモデルケースにもなればともおっしゃっていた。肉や魚でも「ベジ郎」の野菜炒め的発想ができれば、食品ロスはもっともっと減るに違いない。
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