コロナ禍の奇跡 14坪で月商900万円超えの超繁盛店

古町卓也氏
古町卓也氏
フードサプライ前身の会社が運営する居酒屋や焼肉店にて調理やホールを担当し、2009年に創立メンバーとしてフードサプライ入社。営業や人事部を経て、21年に立ち上げた飲食店事業部のエースとして「ベジ郎渋谷総本店」「ベジ郎池袋東口店」を担当し、忙しい日々を過ごす

「ベジ郎」が右肩上がりの売り上げを推移しており、大変好調と聞いた。渋谷総本店の月額売り上げはどのような状況か。

古町氏:おかげさまで好調だ。現在、月商900万円を超えている。

それはすごい。驚きだ。渋谷総本店が14坪の大きさなので坪売り上げはなんと64万円にも及ぶ。普通の飲食店は坪売り上げ15万円程度、繁盛店でも坪売り上げ30万円といわれているので、この2倍以上の数値がいかに尋常ではないかといえる。4月末にオープンしたばかりの池袋東口店はどうか。

古町氏:池袋東口店も好調だ。当初、渋谷店の好調を受けての出店で、18席21坪と渋谷より少しだけ大きい面積だったので渋谷と同等の売り上げを想定していたが、それを超えて1000万円の大台に乗った。

4月にオープンした「ベジ郎 池袋東口店」。行列ができているのですぐ分かる
4月にオープンした「ベジ郎 池袋東口店」。行列ができているのですぐ分かる

素晴らしい。坪売り上げは47万円と渋谷に比べては下がるが、オープンして初月度で売り上げ1000万円超えは、ここ最近コロナ禍で景気の良い話が全くなかった飲食業界全体にとってもうれしいニュースといえる。好調な要因は何だと思うか。

古町氏:3つある。まずはありそうでなかった野菜炒め専門店ということ。2つ目は、食べると体に良い野菜を無理なくたくさん取れる店がなかったということ。そして3つ目は強力なストーリーがあるということだ。

 コロナ禍で野菜が余っていて農家や生産者が大変困っている。弊社が野菜の卸をやっている関係で新鮮な野菜がリーズナブルに仕入れられるので、利用者は野菜炒めを少しでも食べてあげることで野菜廃棄を止めて、野菜の生産者を助けることになるということ。これはSDGs(持続可能な開発目標)にもつながる。

ストーリーから今のコロナ禍における大変意義のあるお店ということが分かる。利用者が自分の健康のためにも、生産者のためにも「食べなくては!」という動機付けも強力なアドバンテージになっている。1日で野菜炒めはどのくらい出ているのか。

古町氏:1日、デリバリー分も含めて300~350食というところか。客単価は900円だ。

野菜炒めの注文が入ると、野菜も肉も背油もすべてグラム数をしっかり測っている
野菜炒めの注文が入ると、野菜も肉も背油もすべてグラム数をしっかり測っている

自分が初めて訪れた時は夜だったが、ひっきりなしでデリバリー業者が料理を受け取りに来ていた。現在やっているデリバリーはどこでどのくらい注文が入るのか。

古町氏:渋谷のデリバリーは、ウーバー、出前館、ウォルトで1日50食ほど注文が入る。池袋は忙しすぎて出前館だけでウーバーは止めている。

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