6月10日、政府は新型コロナウイルス対策で受け入れを停止していた外国人観光客の入国を、添乗員付きツアーに絞って再開を開始した。再開は約2年ぶり。ホテルや観光業界から大きな歓迎の声が上がった。一方、コロナ禍による訪日外国人(インバウンド)の観光に対する意識の変化が読み切れず、様子見する施設もあることも確かだ。

 ただ感染が全くなくなったわけではない。それは今回、筆者は身をもって経験した。幸い軽症のため、自宅療養で済んだが、減少はしていても日々、感染者がいるのは紛れもない事実である。かかりつけの医師からは、基礎疾患があるのに重症化しなかったのは、ワクチンを打っていたからだろうと指摘された。ワクチンを積極的に推進する気はないが、これも事実である。この場を借りて、最新記事を更新するのに、期間を要したことをおわびする。

コロナ禍の食品ロスに立ち向かう

 コロナ禍により、飲食店の営業休止や学校給食の中止によって行き場を無くした農家の大量の野菜が廃棄された。まさに社会問題化している食品ロスである。この問題に対して真摯に取り組んだ会社がある。

野菜炒め専門店「ベジ郎 渋谷総本店」
野菜炒め専門店「ベジ郎 渋谷総本店」

 関東圏を中心に約5000店舗の飲食店に向けて野菜の卸売りを展開しているフードサプライ(東京・大田)だ。2020年、コロナ禍により行き場を失いかけた野菜を非接触販売方式で一般消費者に販売する「ドライブスルー八百屋」を開始。全国展開に至ったこの取り組みが評価され、青果卸売事業が主体の企業として初めて「外食アワード2020・中間流通・外食支援事業者部門」を受賞した。さらにコロナ禍で打撃を受けた生産者の野菜を活用し、野菜をより多く消費できる新事業として、野菜炒め専門店「ベジ郎 渋谷総本店」(以下、ベジ郎)を昨年12月1日にオープンさせた。

 「ひと皿の野菜炒めで、成人が1日に必要な野菜を摂取できる」「自分たちが食べることによって野菜廃棄を阻止し、農家さんら生産者に貢献できる」「二郎インスパイア系の店で、野菜マシマシや背脂をトッピングできる」などの口コミはすぐに拡散された。ツイッターでバズり、22年1月の食べログのPV数は日本1位になった。瞬く間に、行列ができる人気店となり、22年4月23日には、池袋にも出店。今回は、そんな今もっとも勢いがある話題の「ベジ郎」をピックアップした。そこには飲食店がアフターコロナで生き残るためのヒントが隠されているかもしれない。

 場所は、東急百貨店渋谷本店前の渋谷・松濤文化村ストリート沿いにある。ひときわ目を引く黄色い店名テントが目印だ。店内は、細長いわずか14坪の空間でカウンターが11席、2人掛けのテーブル席が2つあり、合計15席を設置。居抜き物件を活用し、昔からあった定食屋さんの雰囲気を醸し出している。

店内壁面にはシステムを表示。メニューは野菜炒めのみで、さまざまなトッピングやご飯・スープを追加して自分好みの野菜炒めを注文できる
店内壁面にはシステムを表示。メニューは野菜炒めのみで、さまざまなトッピングやご飯・スープを追加して自分好みの野菜炒めを注文できる

 店内自動券売機にて注文。まずは基本の野菜炒め(500円)。味付けはしょうゆ・ポン酢・味噌から選ぶ。続いて野菜の量を決める。普通は400g、マシ(500g、同額)、マシマシ(600g、+50円)、少なめ(300g、同額)。

 その次は肉の量を決める。肉中盛り(100g、700円)、肉大盛り(150g、800円)、肉特盛り(200g、900円)。次は味のアクセントになる背脂もチョイス。中油(20g、同額)、大油(40g、同額)、鬼油(80g、+50円)、なし(同額)。ご飯とスープが付く定食(+100円)、追加パクチー(+50円)、追加バター(+50円)も選べる。自分の好みの野菜炒めをメニューカスタマイズすればいい。

ジュ~、カチャカチャ。豪快に中華鍋で野菜炒めを作る音が店内に響き渡る
ジュ~、カチャカチャ。豪快に中華鍋で野菜炒めを作る音が店内に響き渡る

 筆者は、「しょうゆ・野菜マシマシ・肉中盛り・背脂中油・定食」で注文した。これで850円なり。単品なら750円だ。ベジタリアンでなければ、肉を追加するほうが間違いないだろう。通常、野菜炒めと言えば豚肉を使用するが、「ベジ郎」は鶏の唐揚げを使用している。シャキシャキな野菜と唐揚げの相性は抜群で、背脂の味付けで絶品のうまさに仕上がっている。

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