テーブル上に飛沫防止ボードを設置しているが、お薦めラーメンのポップを張るなどPRも怠らない
テーブル上に飛沫防止ボードを設置しているが、お薦めラーメンのポップを張るなどPRも怠らない

まん防でも影響なし、モバイル会員限定『焼豚まみれ祭』

喜多方ラーメン坂内ならではの成功した施策はあるか。

小松崎氏:現在、定期的にお得なクーポンを配信するモバイル会員が全国に70万人いる。コロナ禍前の2013年1月から募集を開始し、この数にまで膨れ上がった。入会者には、喜多方ラーメン一杯を創業時の価格である480円で食べられる特典が好評で、会員は今なお増える一方だ。

 新メニューが出るたびに告知もできるうえ、情報発信によって「しばらく行っていないから食べに行きたい」という来店促進にもつながっている。コロナ禍でも効果的な施策といえる。

ラーメン好き70万人の顧客データは、「喜多方ラーメン坂内」にとって長年かけて入手し蓄積された大切な宝ともいえる。他に打ち出した企画を教えてほしい。

小松崎氏:本社の販売促進部発案で、今年の1月24日~28日の5日間、「モバイル会員限定 焼豚まみれ祭」を開催した。キャッチコピーは“モバイル会員になって、焼豚に溺れてみませんか?”。会員限定商品として、「メガ盛り焼豚ラーメン」を1180円で発売。なんと一杯のラーメンに焼豚が23枚も載っている。焼豚ラーメンで13枚なので、それにさらに10枚も加えたまさにメガ盛りだ。

 この枚数は喜多方ラーメン坂内の焼豚1本分以上の量で、期間中は毎日11キロの焼豚を仕込んだ。あいにく、まん延防止等重点措置発出時と重なってしまったが、それを感じさせないほどの大きな反響があり、大手町店だけでも5日間トータルで513杯(焼豚ラーメン、ねぎ焼豚ラーメン、メガ盛り焼豚ラーメン)が動いた。

インパクトが強い「焼豚まみれ祭」の配信フライヤー。メディアにもたくさん取り上げられた
インパクトが強い「焼豚まみれ祭」の配信フライヤー。メディアにもたくさん取り上げられた
[画像のクリックで拡大表示]
トロけるような柔らかさの「トロうま特製焼豚」は店舗で手作りされている。焼豚まみれ祭時は、朝から晩まで作り続けたとか
トロけるような柔らかさの「トロうま特製焼豚」は店舗で手作りされている。焼豚まみれ祭時は、朝から晩まで作り続けたとか

これはユニークで強力な企画だ。普段、同店を利用しない方やメガ盛り好きなお客もたくさん呼び込めただろう。コロナ禍で客層に変化などは生じたのか。

小松崎氏:最近、驚いた出来事があった。現在は19席に減らして営業しているのだが、先日のランチタイムで、その19席全てが女性客で埋まったのだ。さらに、働いている我々も全て女性だったという。これには驚いた。喜多方ラーメンの麺半分に、ミニご飯、サラダまたは味玉を付けて730円という女性向けのメニューが浸透してきたおかげかもしれない。

それはなかなか遭遇しない光景だ。女性にも人気が出てきているラーメン店だか、今コロナ禍で閉店するラーメン店も多いと聞いた。喜多方ラーメン坂内はどうか。

小松崎氏:残念ながら東京の立川や八王子など閉店してしまった店もあるが、埼玉県の上尾や本庄など新たに出店している店も多い。郊外のニーズが高まっている。

次ページ ■取材を終えて