政府は2023年3月13日からマスクの着用は屋内外を問わず、基本的に個人の判断に委ねることを決定した。しかし2月に実施されたFNN・産経合同世論調査によると、3月13日以降も、マスクを「これまで通り着用する」と回答した人が73.3%に上る。慎重派が多い日本人気質を物語っているようだ。これが今後飲食店にどのような影響を与えるのか、注目したい。さて今回は、大阪で繁盛店となり、その勢いのまま東京・五反田にもオープンして好調の「大衆食堂スタンド そのだ」にスポットを当てる。
「⼤衆⾷堂スタンド そのだ」(以下、そのだ)は、昭和時代に数多く見かけた大衆食堂を舌の肥えた現代人向けにアップデートした、まさに「現代的大衆食堂」だ。
2016年に大阪・谷町六丁目で1号店をオープン。老若男女あらゆる層を集客する繁盛店となった。全国に模倣店が続出するものの、そのだの人気は不動のものとなった。その後、新型コロナウイルス禍中にもかかわらず、20年7月に福岡・親不孝通り店、同年12月に大阪・天王寺店、21年3月に大阪・心斎橋PARCO店と着実に新規オープンを続けた。
そして21年9月、東京1号店として五反田店、22年12月には東京2号店として下北沢店をオープンした。厳しい環境の中での相次ぐ出店はなぜ成功したのだろうか。
五反田店へはJR五反田駅で下車し、中央改札口を通って左側の東口に向かう。駅を出て右側にある歩道橋を渡り、東急スクエアの前の道を進む。「銀だこ ハイボール横丁」を過ぎて「小諸そば」のある1つ目の交差点を左折して横断。10メートルほど直進すると左側にある。駅からは徒歩3分程度の駅チカだ。

昭和の大衆食堂を再現
店内は、調理場を囲むように設置された茶色のコの字カウンター、そのカウンターと調理場の間の仕切りに貼られた白いタイルや電光メニュー、手書き短冊メニューなど、昭和の大衆食堂が見事に再現されている。店内を白ベースにしたのも年数を重ねて少しずつ汚れていくことを「良き年季」として狙っている気さえする。
席数はコの字カウンターに19席、壁側と窓側に設置されたカウンターに11席の計30席だ。春から秋の期間は道路に面した窓を上に跳ね上げ、店舗の外側にも丸椅子が5脚置かれるので、窓側カウンターの席と店外の席が向かい合わせになる。それを含めると計35席になる。

料理はかつての大衆食堂同様、和洋・中華の料理に加えて麺類や丼物もある。ただ他店との差別化を狙って魚メニューは用意せず、肉料理を前面に打ち出した。それでも前菜19品、名物4品、揚げ物13品、お薦め5品、蒸し・炒め物11品、飯・麺14品、計66品という充実ぶりである。
まずはファーストドリンクに合わせて1品目を注文した。常連客の多くが頼むという名物4品のうちの1品「アンチョビ煮玉子ポテトサラダ」(528円。以下、価格は全て税込み)だ。小皿にキャベツを敷いて、半分に切った煮玉子とポテトサラダの上に、アンチョビを乗せ、その上にニンニクチップと、黄身のオレンジ色に映えるパプリカパウダーを振りかけてある。

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