新型コロナウイルス禍による厳しい環境にあって、アクセス的に恵まれていない場所にも関わらず、2020年度の売り上げを19年度比の30%減、21年度は19年度比20%減にとどめ、22年度は19年度比10%増の回復を果たした店がある。東京・白金にある「甚六(じんろく)」だ。なぜダメ ージが少なかったのか。その要因を探ってみたら、アフターコロナにおける「勝利の方程式」が少しだけ見えた気がする。

「甚六」外観。夜はライトアップしており、白金台ならではの高級なイメージを醸し出す。奥には姉妹店の焼肉店「今甚(いまじん)」がある
「甚六」外観。夜はライトアップしており、白金台ならではの高級なイメージを醸し出す。奥には姉妹店の焼肉店「今甚(いまじん)」がある

 店名の由来は、落語にも出てくる「総領の甚六(そうりょうのじんろく)」からきており、「おっとりした世間知らずの長男」を意味する。同店の店主が長男なのだ。また、お人よしや愚か者、ろくでなしの意味もあるが、あくまでも愛嬌(あいきょう)を込めて呼んでいるとのこと。

 住所は港区白金だが、電車なら東京メトロ日比谷線広尾駅から行くとアクセスしやすい。広尾駅を出て、外苑西通りを天現寺橋交差点方面へ直進する。天現寺橋交差点を過ぎたら、さらに直進して1つ目の信号(恵比寿3丁目)に向かう。交差点の角に「さわやか信用金庫 広尾白金支店」があり、そこから50メートルほど進むと、「日産自動車販売 白金店」の手前に10階建ての賃貸マンションが見えてくる。その1階部分に店舗がある。徒歩なら10分程度、タクシーなら約4分で着く。

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