中国語圏の人たちが提供する「ガチ中華」の躍進により、中華料理界の話題を奪われつつある「町中華」。町中華とは、地元に昔からある、「安い」「うまい」「ボリューム満点」の三拍子そろった、町の人たちに愛されている大衆的な中華料理店を指す。残念ながら後継者問題を抱えている店が多く、さらに新型コロナウイルス禍によって閉店を余儀なくされたところもある。しかし地元に住む常連客のおかげで、今なお元気に営業している店も多い。そんな中、一時は苦境に立たされたものの 、若い店主とスタッフが中心となり、TikTok(ティックトック)を活用したPRやメガ盛りメニュー考案などで起死回生を図った町中華店を見つけた。
麺類、丼もの、一品料理…充実したラインアップ
店名は「中華東東(トントン)」。今年で創業42年の歴史を持つ老舗の町中華だ。最寄り駅は、千葉県松戸市にある北総鉄道北総線の松飛台(まつひだい)駅。1日の平均乗降数が4000人弱の郊外の駅で、松飛台駅から約300メートルの場所に東東は位置する。
改札を出て左に進み、ゆるやかな坂道を上がっていく。右側にあるセブンイレブンを通過すると、中華料理店とは思えないピンク色のかわいいスタンド看板と、にぎやかなのぼり旗が見えてくる。

周辺は豊かな緑と知る人ぞ知る名所に囲まれている。まず、近所に大相撲の元関脇の初代琴ノ若(ことのわか)率いる名門佐渡ケ嶽(さどがたけ)部屋がある。さらに、小型モーターに特化し、有鉄心モーターで業界トップシェアを占めるマブチモーターや、東京ドーム約20個分の面積に相当する約100ヘクタールの広大な東京都立八柱(やはしら)霊園などもある。
さて、店内は中華料理店の定番カラーである朱色のテーブルやカウンター席が目を引きつつもカジュアルな雰囲気だ。清潔感があり、清掃が行き届いている。席数は4人掛けテーブルが4卓、カウンター7席の合計23席が用意されている。

メニューは、町中華ならではのおなじみのラーメンや焼きそばといった麺類が21種類、天津丼や中華丼などのご飯ものが9種類、チンジャオロースやマーボー豆腐など一品料理が22種類と充実している。
最初に注文したのは、店がイチオシする「純レバ」(880円。以下、価格は全て税込み)だ。長年付き合いがある肉屋から仕入れている新鮮な生レバーを、秘伝のタレで甘辛く味付けをしている逸品で、抜群にうまい。

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