おいしい日本酒を知ってもらいたい
なるほど。日本酒を飲んでもらうために、焼き鳥と日本酒のペアリングを考えたのは良い狙いだ。また喉の渇きを満たすのには、「日本酒ではないだろう」と最初の一杯をビールやウーロンハイ、烏龍茶や炭酸水などからチョイスできるのもうれしい限り。
田渕シェフ:最初の一杯と日本酒3杯の合計4杯とコース料理を合わせて、税込みで5900円は、足を運びやすい価格だと考えている。
箸で食べる焼き鳥もうまいが、鳥の仕入れ先や産地のこだわりはどうか。
田渕シェフ:一般的においしいのが当たり前な銘柄鶏を仕入れて、高価格で提供するよりも、名前はさほど浸透していないがリーズナブルでうまい関東地鶏(茨城県のつくばしゃも、群馬県の上州地鶏、栃木県の栃木しゃもなど)を仕入れるようにしている。

「デザートは別腹理論」で、コース後にデザートを食べる人が多いが、同店にもあるのか。
田渕シェフ:ホールを担当している今野(こんの)がパティシエなので、彼女が中心となり、常連客が毎日来ても飽きないよう、趣向を凝らしたデザートを提供している。料理は常にオリジナルを目指しており、似た内容でもアレンジを加えることで、まったく同じものを出さないようにしている。


それはすごいことだ。言葉で言うのは簡単だが、なかなかできることではない。料理のアレンジを変えるにしても、まず何を基準にやっているのか。
田渕シェフ:厨房からお客さんの食べるスピードや食べっぷりなどを確認して、次に作る料理に、どうアレンジを加えたらより喜んでくれるか、常に考えながら動いている。
なるほど理解した。田渕シェフ考案で、今野さんが作り上げた、ワインによく合う「新しいバターつまみ」を発売したとか。
田渕シェフ:実は自分はレーズンバターが苦手で、ワインのお供になる新しいバターはないのかと探している中で、たどり着いたのが柿バターだった。食べやすい甘さと柔らかさを持った市田柿を使用しており、クリーミーな口あたりに仕上がった。

Powered by リゾーム?